カット主戦型

カット主戦型：卓球における独特の戦術

卓球において、相手の攻撃を下回転で返す独特の戦型として知られるカット主戦型。日本では「カットマン」とも呼ばれますが、この名称は和製英語で、英語では“chopper”と言われます。世界的に見ると、カット主戦型は少数派の戦型です。

カット主戦型の概要

カット主戦型は、卓球台から離れた後陣で、相手の強打に対して強い下回転のかかったボールを返し続けるのが特徴です。粘り強い守備で相手のミスを誘いながら、好機を捉えては一気に前に出て反撃する、ダイナミックな戦型と言えるでしょう。

この戦型を極めるためには、広い動作範囲をカバーするフットワーク、安定したカット技術、そして攻めに転じた際のパワーとスピードが不可欠です。基本的に守備が中心となり、相手のボールの変化を利用して返球し、相手のミスを誘います。しかし、チャンスボールを確実に仕留めるためのスマッシュやドライブなどの攻撃技術も必須です。そのため、高い持久力、粘り強さ、そしてほぼ全ての卓球打法の習得が求められます。

ラケットは、ボールの弾みを抑えるものが主に使用されます。ラバーはフォア面に回転のかかる裏ソフトラバー、バック面にはツブ高ラバーを貼るのが一般的です。かつてはフォア面に守備用のラバーや粘着系ラバーが主流でしたが、近年では攻撃用のラバーを使う選手が増えています。中には、粘着力の強い中国製のラバーを使用する選手もいます。

現代卓球では、守備力に加え、得点機会を増やすための攻撃力も重要視されており、この両方を兼ね備えたスタイルを「カット主戦オールラウンド型」と呼ぶこともあります。

カット主戦型とポジション

卓球の陣形は前陣、中陣、後陣に分けられますが、カット主戦型は主に後陣でプレーを行います。後陣に位置することで、相手の強打に対してより多くの時間を確保し、下回転を効果的にかけることができます。

代表的なカット主戦型選手

世界で活躍する数々のカットマンの中でも、特に著名な選手を以下に挙げます。

徐孝元
竹内嘉菜
相馬夢乃
范瑛
キム・ソンイ
リ・ミョンスン
劉斐
馬特
侯英超
脇ノ谷直子
金裕珍
劉松
ワンヤン
英田理志

(※上記は代表的な選手の一部であり、他にも多くの優れたカットマンが存在します。)

まとめ

カット主戦型は、高度な技術と戦略、そして並外れた持久力と精神力を必要とする、奥深い戦型です。守備と攻撃のバランス、そして状況判断力が問われるため、多くの選手にとって大きな挑戦となります。しかし、その独特の戦術と、相手を翻弄するプレイスタイルは、卓球の戦術的多様性を豊かに彩っています。

参考文献

前原正浩『みるみる上達スポーツ練習メニュー5 卓球』ポプラ社、2015年4月。ISBN 978-4591143629。

関連項目

ドライブ主戦型
前陣速攻型

外部リンク

「戦型」について知ろう～みんなの卓球広場（ニッタク）
* 卓球の戦型の種類（卓球情報大百科）

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