カナダの国章

カナダの国章：歴史とデザインの背景

カナダの国章（The Royal Coat of Arms of Canada）は、1921年11月21日にカナダで正式に公認されました。その後、1957年と1994年に修正が加えられ、カナダ国王の紋章、すなわちカナダという国家の紋章として存在しています。この国章は、植民地時代以来のイギリスとの深い歴史的関係を反映し、イギリスの国章に倣いながらも、カナダ独自の要素を取り入れて制定されました。

正式名称は「the Arms of His/Her Majesty in Right of Canada」（カナダ統治者国王陛下の章）とされ、カナダの主権と歴史を象徴する重要なシンボルとなっています。

デザインの特徴

カナダの国章は、イギリス連邦諸国と同様に、イギリスの紋章の伝統に則ったデザインが特徴です。具体的には、以下のような要素が含まれています。

盾: 中央には盾が配置され、カナダの歴史と多様性を象徴する紋章が描かれています。
ライオンとユニコーン: 盾の両側には、イギリスの国旗を掲げたライオンと、ブルボン朝のフランス王旗を掲げたユニコーンが配置されています。これは、カナダのイギリスとフランスのルーツを象徴しています。
サトウカエデの葉: 盾の上部には、カナダを象徴するサトウカエデの葉を持ったライオンが描かれています。また、盾の下部にもカエデの葉が描かれており、カナダの自然とアイデンティティを強調しています。カエデの葉の色は、1957年に緑色から赤色に変更されました。
盾の中の紋章: 盾の中には、イングランド、スコットランド、アイルランド、フランス王家の紋章が描かれています。これらの紋章は、カナダの多様な文化的背景を反映しています。
左上：3頭のライオン（イングランドの国章、リチャード1世の頃から）
右上：2重枠に入った赤いライオン（スコットランドの国章、ウィリアム1世獅子王の頃から）
左下：金のハープ（アイルランドの国章）
右下：フルール・ド・リス（フランス王家の紋章）

この盾のデザインは、1921年から1965年まで使用されたレッド・エンサインの旧国旗にも見られました。また、このデザイン要素はカナダ国王旗（王旗）にも使用されています。

フランス王旗が描かれている理由

カナダの国章にフランス王家の紋章が描かれている理由は、以下のようないくつかの説があります。

1. 過去のフランス植民地: カナダはかつてフランスの植民地であった歴史があります。この歴史的背景を反映して、フランス王家の紋章が国章に取り入れられました。
2. 先住民との友好関係: 過去にカナダ先住民とフランスが良好な関係を築いていたことが、紋章に反映されたという説があります。
3. カナダの名付け親: カナダの名付け親がフランスの探検家であったという歴史的事実も、理由の一つとして挙げられます。
4. 英仏の友好関係: 英仏戦争の終結後、両国が友好関係を築いたことを記念して、フランス王家の紋章が加えられたという説もあります。

これらの要素が組み合わさり、カナダの国章は、その歴史、文化、そして未来への希望を象徴するデザインとなっています。

関連項目

国章の一覧
カナダの国旗

外部リンク

* The arms of Canada（英語）カナダ政府公式サイト

カナダの国章は、単なる紋章ではなく、カナダの歴史と文化、そして多様性を象徴する重要なシンボルです。そのデザインに込められた意味を理解することで、カナダという国に対する理解を深めることができるでしょう。

もう一度検索