カナダアーム2

カナダアーム2：宇宙のロボットアーム

カナダアーム2（Canadarm 2）は、国際宇宙ステーション（ISS）に搭載される高度なロボットシステムで、複数の機能を持つ重要な装置です。このロボットアームは、モービルサービスシステム（MSS）の一部として設計されており、ISSの組立や整備、様々な実験の支援を行います。具体的には、モジュールやトラスの組み立て、宇宙飛行士の船外活動（EVA）の補助、実験機器や交換機器の運搬など、多岐にわたる作業を実施します。

カナダアーム2の基本構造

カナダアーム2は、2001年にスペースシャトルのSTS-100ミッションで打ち上げられ、従来のシャトル用ロボットアーム「カナダアーム」の進化系とされています。アームの重量は1,800kg、直径35cm、全長17.6mに達することができ、最大で116,000kgのペイロードを扱う能力を有しています。移動には、ISS上に設置された83個の電力データグラップルフィクスチャ（PDGF）を利用し、エンドエフェクタを通じて電力やデータの送受信が可能です。

モービルサービスシステム（MSS）

カナダアーム2は、MSSというシステムの一部として機能しています。MSSは、実際にロボットアームである宇宙ステーションリモートマニピュレーターシステム（SSRMS）、モービルベースシステム（MBS）、特殊目的ロボットアームであるデクスター（SPDM）から成り立っています。MBSは、ISSのトラス上を移動する役割を担い、MT（モービルトランスポーター）によって効率的に作業場所へ移動します。

操作方法

アームを操作する宇宙飛行士は、ロボットアーム操作盤（RWS）を使用し、作業状況をモニタリングします。複数の液晶ディスプレイを使用し、2組のジョイスティックを使って精密な操作を行います。RWSは、ISS内のキューポラやデスティニーに設置され、宇宙飛行士の快適な作業環境を提供しています。

デクスターの役割

デクスター（SPDM）は、特別な目的のために設計された小型ロボットアームで、テレビカメラや照明、複数の交換用工具を搭載しています。これにより、従来宇宙飛行士が行っていた作業を代替でき、特に2011年の作業では、装置の移動や故障部品の交換を実施しました。デクスターの操作は、通常は地上から行われ、宇宙飛行士の作業負担を軽減します。

その他のロボットアーム

さらに、ISSには他のロボットアームも搭載予定です。例えば、ロシアセグメント専用の欧州ロボットアームや、日本の「きぼう」モジュールに設置される独自のロボットアームがあります。これらのシステムにより、宇宙での作業効率がさらに向上することが期待されています。

このように、カナダアーム2を含むロボットシステムは、国際宇宙ステーションの運用において不可欠な要素となっています。

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