カナダ・ラジオテレビ通信委員会

カナダ・ラジオテレビ通信委員会（CRTC）とは

カナダ・ラジオテレビ通信委員会（Canadian Radio-television and Telecommunications Commission、CRTC）は、カナダの放送および通信事業を規制する政府機関です。カナダ文化遺産省を通じてカナダ議会に報告を行い、放送法と通信法に基づいた政策を運用しています。本部はケベック州ガティノーにあります。

歴史

CRTCの前身は、1958年に設立された放送管理委員会（BBG）です。BBGはカナダ放送協会（CBC）から独立した形で、放送行政を担っていました。1968年にはカナダ・ラジオテレビ委員会（CRTC）が設立され、テレビ・ラジオ放送の規制を引き継ぎました。

1976年には、当時の独占状態にあった電気通信事業がカナダ運輸委員会（CTC）からCRTCに移管され、名称が現在の「カナダ・ラジオテレビ通信委員会」に変更されました。これにより、CRTCは放送と通信の両分野を規制する包括的な機関となりました。

規制対象

当初、CRTCの規制対象は、BCTel（現テラスの一部）などの私有通信事業者、ベル・カナダ、および一部地域の通信事業に限られていました。その他の多くの通信事業者は公立であり、州政府が規制していました。しかし、1990年代の連邦裁判所の判決により、オンタリオ州やケベック州の小規模な通信事業者もCRTCの規制対象となりました。現在では、カナダ全土の放送・通信事業を幅広く規制しています。

主な活動

CRTCは、カナダの放送・通信事業に関するあらゆる活動を監督しています。その中でも特に有名なのが「カナディアンコンテンツ規制」です。これは、カナダの文化を保護し、国内のコンテンツ制作を促進するための政策です。具体的には、放送局に対して、一定割合のカナダ産コンテンツの放送を義務付けています。

CRTCは、放送法の担当であるカナダ文化遺産大臣を通じてカナダ議会に報告を行い、通信法の担当であるイノベーション・科学経済開発省とも連携しています。これにより、放送と通信の両分野における政策の一貫性と整合性を確保しています。

組織

CRTCは、13人の常任理事と6人の非常任理事で構成されています。常任理事には、会長、放送担当副会長、通信担当副会長が含まれます。理事は、内閣によって任命され、任期は5年です。通信政策に関する決定は常任理事のみが行い、放送政策に関する決定はすべての理事が行います。

他の機関との比較

CRTCは、アメリカ合衆国の連邦通信委員会（FCC）と類似した機関です。ただし、CRTCはFCCのように放送通信技術の標準化の決定権や電波周波数の割当、コールサインの付与は行いません。これらの業務は、カナダではイノベーション・科学経済開発省が担当しています。

日本には、総合[[通信基盤局]]というCRTCに類似した組織があります。しかし、各国の事情により組織の役割や規制内容には違いがあります。

まとめ

カナダ・ラジオテレビ通信委員会（CRTC）は、カナダの放送・通信事業を規制する重要な政府機関です。その活動は、カナダのメディア環境の形成に大きな影響を与えています。CRTCは、カナディアンコンテンツ規制などの政策を通じて、カナダ文化の保護と発展に貢献しています。

外部リンク

カナダ・ラジオテレビ通信委員会公式サイト（英語・フランス語）
CRTCとカナディアンコンテンツ規制（CBCデジタルアーカイブ・英語版）

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