カナリア大望遠鏡

カナリア大望遠鏡（Gran Telescopio Canarias、GTC）は、スペイン領カナリア諸島、ラ・パルマ島のロケ・デ・ロス・ムチャーチョス天文台に設置された、口径10.4mの反射式望遠鏡です。しばしばGranTeCanとも呼ばれます。この望遠鏡は、標高2267mの火山の山頂に位置しており、その建設には7年の歳月を要しました。GTC計画は、スペイン、メキシコ、フロリダ大学、そしてカナリア天体物理研究所（IAC）が共同で設立したプロジェクトです。建設にかかった費用は、1億3000万ユーロに達しました。

観測開始

GTCは2007年7月13日に、12枚の反射鏡を用いて最初の観測を開始しました。最終的には36枚のセグメント化された反射鏡を搭載し、能動光学技術によって精密に制御されるよう設計されています。当初、2008年5月に完全な状態で観測を開始する予定でしたが、その後、観測装置はOSIRIS、CanariCam、ELMERのいずれかを使用して観測が行われるようになりました。

特徴と意義

GTCは、世界でも有数の規模を誇る反射望遠鏡であり、その優れた集光力と分解能により、宇宙の深淵を詳細に観測することを可能にします。この望遠鏡によって、天文学の分野における様々な研究が進展することが期待されています。例えば、銀河の形成と進化、恒星の誕生と終焉、そして太陽系外惑星の探索など、多岐にわたるテーマでGTCのデータが活用されています。GTCは、国際的な共同研究によって実現したプロジェクトであり、科学技術の進歩における国際協力の重要性を示す象徴的な事例と言えるでしょう。

観測装置

現在GTCでは、主に以下の3つの観測装置が利用されています。

OSIRIS: 可視光領域での観測を専門とする装置で、分光観測やイメージング観測が可能です。
CanariCam: 中間赤外線領域での観測に特化しており、宇宙塵や分子雲の研究に活用されています。
ELMER: 低分解能の分光観測やイメージング観測を行うための装置で、広範囲の天体の観測に適しています。

関連項目

世界の大規模反射[[望遠鏡一覧]]

外部リンク

Gran Telescopio Canarias
GTC News
Instituto de Astrofísica de Canarias (IAC)
University of Florida CanariCam
Consejo Nacional de Ciencia y Tecnología de México（スペイン語）
Instituto de Astronomía de la Universidad Nacional Autónoma de México（スペイン語）
CBC article — Giant Canary Islands telescope captures first light

画像

GTCに関する画像については、関連の外部リンクから参照ください。

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