ロケ・デ・ロス・ムチャーチョス天文台

ロケ・デ・ロス・ムチャーチョス天文台（Observatorio del Roque de los Muchachos）は、スペイン領カナリア諸島のラ・パルマ島に位置する天文台です。大西洋に浮かぶこの島は、テネリフェ島にあるテイデ天文台と共に、カナリア天体物理研究所（Instituto de Astrofísica de Canarias）によって運営されています。

特徴

この天文台は、その卓越したシーイングの良さから、光学および赤外線観測に最適な場所として選ばれました。北半球においては、ハワイ島のマウナケア山にあるマウナケア天文台群に次ぐ、有数の観測施設が集積する場所となっています。ヨーロッパからのアクセスが容易であり、時差が少ない点も利点です。天文台には、最先端の観測機器が導入されており、その中でも能動光学を採用したスウェーデン太陽望遠鏡は、太陽観測において世界最高レベルの分解能を誇ります。また、口径10.4mのカナリア大望遠鏡（Gran Telescopio Canarias, GTC）は、2007年から観測を開始し、天文学の発展に大きく貢献しています。

歴史

ロケ・デ・ロス・ムチャーチョス天文台の歴史は、イギリスのグリニッジ天文台から移設されたアイザック・ニュートン望遠鏡（Isaac Newton Telescope, INT）の存在に始まります。この移設は非常に困難で、新しい望遠鏡を建設する方が費用を抑えられたのではないかとも言われています。天文台は、当初スペイン、スウェーデン、デンマーク、イギリスの共同プロジェクトとして設立されましたが、その後、ドイツ、イタリア、ノルウェー、オランダ、フィンランド、アイスランド、アメリカ合衆国など、多くの国が参加する国際的な研究拠点へと発展しました。1985年6月29日には、スペイン王室の臨席の下、各国の首脳が集まり、天文台の発足が宣言されました。

1997年には、火災によって[ガンマ線]]望遠鏡が被害を受けるという事件が発生しましたが、2005年の火災では幸いにも深刻な被害は免れました。2018年10月10日には、東京大学宇宙線研究所をはじめとする日本の研究チームが参画するチェレンコフ・テレスコープ・アレイ（CTA）の大口径望遠鏡1号機（直径23m）の設置記念式典が開催されました。このCTAは、ブラックホールや中性子星などの高エネルギー天体から放出されるガンマ線が地球大気圏に到達した際に発生する微弱なチェレンコフ放射を捉えるために使用されます。さらに、小惑星] Muchachosは、この[[天文台の名前にちなんで命名されました。

主要な望遠鏡

この天文台には、以下のような多くの望遠鏡が設置されています。

カナリア大望遠鏡 (Gran Telescopio Canarias, GTC): 口径10m
ウィリアム・ハーシェル望遠鏡 (William Herschel Telescope, WHT): 口径4.2m
国立ガリレオ望遠鏡 (Telescopio Nazionale Galileo, TNG): 口径3.6m
北欧光学望遠鏡 (Nordic Optical Telescope, NOT): 口径2.6m
アイザック・ニュートン望遠鏡 (Isaac Newton Telescope, INT): 口径2.5m
リバプール望遠鏡 (Liverpool Telescope): 口径2m
MERCATOR: 口径1.2m
自動子午環 (Automatic Transit Circle, ATC): 口径18cm
スウェーデン太陽望遠鏡 (Swedish Solar Telescope, SST): 口径1m
Dutch Open Telescope: 口径45cm
MAGIC: 口径17m（空気シャワー観測用）
SuperWASP: 超広視野カメラ

これらの望遠鏡は、それぞれが異なる波長帯や観測目的に特化しており、宇宙の研究に大きく貢献しています。ロケ・デ・ロス・ムチャーチョス天文台は、その国際的な共同体制と最先端の観測設備によって、天文学における重要な発見を生み出し続けています。

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