カニクサ

カニクサ（蟹草）

カニクサは、シダ植物門フサシダ科に分類されるつる性のシダです。一般のシダとは異なり、つる植物のように他のものに巻き付いて成長する特徴を持ち、「ツルシノブ」という別名もこの性質に由来します。

特徴

カニクサの最も特徴的な点は、長く伸びるつる状の部分が、実は一枚の葉であるということです。本当の茎は地下にあり、そこから一枚の葉が地上に伸びてつる状になります。幼い株では葉は短いですが、成長するにつれて2mを超える長さになることもあります。日本では冬に枯れることが多いですが、温暖な地域では枯れずに残ることもあります。

葉は主軸に沿って左右に羽片が対になって並び、羽片ごとに胞子葉と栄養葉の区別が見られます。胞子葉は主軸上にまとまって生じ、小葉は丸みを帯びた三角形で、周囲から胞子形成部が突き出しています。一方、栄養葉の小葉は細長い三角形で、根元側から少し突出した部分を持つことがあります。胞子形成部には、胞子のうの列が二列に配置されています。

分布

カニクサは、日本の中部地方以南から琉球列島、東アジア、東南アジア、オセアニアにかけて広く分布しています。琉球列島に分布するものは、小葉が細長く伸びることから、変種のナガバカニクサとして区別されることがあります。また、北アメリカに帰化しており、繁殖力が強く、問題となっています。

日本では、本州中部以南の道端などにも生育し、乾燥した場所や日向を好みます。その雑草的な性質から、比較的どこでも見ることができます。

カニクサという名前は、かつて子供たちがカニを釣るのに使ったことに由来すると言われています。また、つるを利用してカゴを編むなどの利用法も存在します。さらに、利尿薬として用いられることもあります。

構造

カニクサのつる状に見える部分は、実際には葉の主軸が長く伸びたものです。本当の茎は地下にあり、そこから葉が伸びて成長します。この葉は先端が無限に成長するという特徴を持っており、茎と同じような機能を果たします。同様の例は、ウラジロ属の植物にも見られます。

近縁種

カニクサ属には、熱帯を中心に約40種が知られています。日本には、もう一種イリオモテシャミセンヅルが八重山諸島に分布しています。イリオモテシャミセンヅルは、日当たりのよい林縁などに生息し、数メートルまで成長します。小羽片は三角を帯びた楕円形で先端が丸く、葉は厚くて硬く、光沢があるのが特徴です。

カニクサは、その独特な形態と生態から、他のシダ植物とは異なる魅力を持つ植物です。その生育環境や利用方法を知ることで、より深く理解を深めることができるでしょう。

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