カビエン

カビエン (Kavieng)

カビエンは、パプアニューギニアのニューアイルランド州の州都で、同州に属するカビエン地方の中心都市です。この町はニューアイルランド島の北端にあるバルガイ湾の近くに位置し、島最大の都市として知られています。2011年の調査によれば、カビエンの人口は約9943人で、主にトク・ピシンと英語が使用されています。また、一部の住民はニューアイルランドの地方言語であるティガク語も話しています。

自然環境と観光

カビエンは温暖な気候が特徴で、平均最高気温は30.2度、平均最低気温は22.5度です。年間の降水量は3183mmで、標高はわずか10メートルです。ここは、貿易と観光の重要な拠点ともなっており、多数のスクーバダイビング会社が立地しています。自然豊かな環境と歴史的な沈没船による観光スポットも多く、特に第二次世界大戦の遺物が人気を集めています。

港内には歴史的な飛行機や船が沈んでおり、これらの遺物を探索する旅行者たちにとって魅力的な対象です。カビエン空港からはポートモレスビーまで毎日航空便が運航されており、193km離れたナマタナイと結ぶブルミンスキ高速道路の接続も便利です。

地元の生活とサービス

カビエンは地方自治体の庁舎や商店街など、地方の中心都市としての機能を全て備えています。カビエンホテルは特に金曜日の夜にシーフード料理が楽しめることで有名です。他にも、マラガン・ビーチ・リゾート・ホテルや中華料理店、歴史あるカビエン・クラブが存在します。また、町には一般診療、小児科、外科を提供する病院も整っています。週に一度、地元市場が開かれ、活気があります。

カビエンの周辺には、コプラの輸出用に設計された大型の港湾設備があり、大型船が直接コプラと油を積み込むことが可能です。カビエンから見える多くの美しい島々、ヌサ・リク島やヌサ・ラワ島、ナンゴ島では、1960年代から70年代にかけて多くの魚の缶詰工場が存在しました。

歴史的背景

カビエンの歴史は1516年にオランダ人の探検家によって地図に記録されたことに始まりますが、現代の町が形成されたのは1900年代に入ってからです。かつてドイツの植民地に属していたこの地域は、第一次世界大戦後にオーストラリアに割譲され、ドイツ人宣教師は強制送還されました。その後、1942年に日本軍による大規模な空襲が発生し、多くの住民が避難を余儀なくされました。

日本軍の占領中には、ほとんどのヨーロッパ人が命を落とし、1944年にはカビエン港での大虐殺が発生しました。連合国軍が1945年にこの地域を取り戻すと、町はほぼ破壊されてしまいましたが、現在もその歴史的な戦争遺物が残されています。

特に港湾道路近くにある大砲は、当時の防衛施設の一部であり、一般公開はされていないものの、近くにあるブンカーからは港を一望できます。

昨今、カビエンはその美しい自然と歴史的遺産を彼方に持つ町として、観光客にとって魅力的な訪問先となっています。

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