ポートモレスビー

ポートモレスビー：パプアニューギニアの首都

ポートモレスビーは、パプアニューギニアの首都であり、同国最大の都市です。パプア湾に面した港湾都市として、天然ガス、ゴム、金、コプラなどの主要な輸出品を輸出する重要な貿易拠点となっています。オセアニア地域有数の大都市であり、複雑な歴史と現代社会の課題を抱える都市でもあります。

古代からの交易と植民地化

古くからこの地に住むモツ族は、独自の文化と交易システムを持っていました。彼らは高床式住居を建設し、サゴヤシやカヌー用の木材などを生産、交易を行い、特に「ヒリ貿易」と呼ばれる大規模な交易で、大量の土器を運搬していました。この交易は、経済活動だけでなく、モツ族のアイデンティティを形成する重要な要素でした。現代でも、ヒリ・モトゥ祭りとしてその伝統が継承されています。

19世紀後半、イギリス海軍のジョン・モーズビーが探検でこの地を訪れ、彼の父にちなんで「ポートモレスビー」と命名しました。その後、イギリス領ニューギニアの一部となり、1906年にはオーストラリア自治領に編入されました。当初はゆっくりとした発展でしたが、港湾施設の整備などが進み、徐々に都市として成長していきました。

戦争と独立

第二次世界大戦中は、連合軍の基地として重要な役割を果たしました。1942年には日本軍による攻略作戦がありましたが、珊瑚海海戦での敗北や陸路からの攻撃の失敗により、占領を免れました。

1975年、パプアニューギニアが独立すると、ポートモレスビーは首都となりました。独立後、急速な人口増加が続き、近代的な政府機関や施設が建設されました。ワイガニ地区には国会議事堂や博物館、図書館などが集積し、行政の中心地となっています。

近年の課題と発展

しかし、急速な発展に伴い、いくつかの課題も抱えています。人口増加による環境問題、特に野焼きや焼却による大気汚染は深刻な問題です。また、治安問題も長く悩まされています。経済の不安定さや貧富の格差から、犯罪率が高く、特に2000年代前半は、レイプや殺人事件が多発し、世界で最も住みにくい都市の一つに数えられました。

近年は経済の安定化に伴い、治安は改善しつつありますが、組織犯罪、特に中国系ビジネスを狙った犯罪の増加が懸念されています。

行政区と交通

ポートモレスビーは、タウン、ボロコ、ワイガニなど9つの地区に分けられています。ワイガニ地区には政府機関が集中しており、特徴的なデザインの国会議事堂があります。

交通面では、ジャクソン国際空港が国内外への空の玄関口となっています。国内線は、道路事情の悪さを補完する役割も担っています。

結論

ポートモレスビーは、豊かな歴史と文化、そして現代社会の課題を抱える都市です。急速な発展と治安問題、経済の変動など、多くの複雑な要素が絡み合い、その未来は依然として不確実です。しかし、国際空港などのインフラ整備や経済の安定化に向けた取り組みなど、発展を続けるための努力が続けられています。今後、どのように発展していくのか、注目すべき都市です。

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