カブキロックス (バンド)

カブキロックス：歌舞伎とロックの融合、そして波乱万丈な歴史

1989年、日本の音楽シーンに突如として現れたカブキロックス。TBS系深夜番組『三宅裕司のいかすバンド天国』（通称イカ天）での鮮烈なデビューから、その独特の世界観と高い演奏力で注目を集めました。

歌舞伎をモチーフにした個性的なスタイル

カブキロックス最大の特徴は、歌舞伎の隈取を思わせる奇抜なメイクと、華やかな和装です。初期の楽曲は歌舞伎の演目をモチーフにしたものが多く、ボーカルの氏神一番は「見得」といった歌舞伎独特の所作を取り入れ、独特のステージパフォーマンスを展開しました。彼らは、元禄時代から現代にタイムスリップしてきたという設定を打ち出し、ライブを「狂言雷舞」、楽曲を「演目」、メンバーの役割を「歌い手」「六味線」「四味線」「洋太鼓」「鍵盤」と、独自の表現を用いることで、一貫した世界観を構築していました。

イカ天からメジャーデビューへ

氏神一番が結成した「KABUKI ROCK 一番屋」と、青木秀麻呂が率いる「ヒステリックグラマー」という、異なる2つのバンドが合体する形で結成されたカブキロックス。既に「イカ天」出演経験のある「ヒステリックグラマー」の青木秀麻呂の提案と、CBS・ソニーの事情が重なり、「イカ天」への出演が実現しました。

1989年10月14日、沢田研二の『TOKIO』を江戸時代風の歌詞にアレンジした『お江戸』を演奏し、「仮イカ天キング」に選出。続く10月28日の収録ではオリジナル曲『好色一代男』を披露し、三宅裕司を唸らせながらも、惜しくも「正キング」の座を逃しました。しかし、彼らの個性的なパフォーマンスは視聴者の心を掴み、『イカ天』内の視聴者投票で初登場一位を獲得。翌1990年5月21日にはシングル『お江戸-O・EDO-』でメジャーデビューを果たしました。

人気絶頂期とメンバー脱退

メジャーデビュー後、カブキロックスは『ドラゴンクエスト』のエンディング主題歌を担当するなど、勢いに乗りましたが、1990年末の『イカ天』終了に伴い、人気にも陰りが見え始めます。1991年にはギターの青木秀麻呂が脱退、その後もメンバーチェンジを繰り返すこととなります。

新生カブキロックスと現在

幾度かのメンバーチェンジを経て、2001年には「新生カブキロックス」として活動を再開。2009年には20周年記念シングルをリリースするなど、現在も活動を続けています。オリジナルメンバーである氏神一番は、俳優や舞踊家としての活動も行うなど、多方面で活躍を続けています。

メンバー紹介

氏神一番 (Vo): カブキロックスのリーダーであり、唯一デビュー当時から現在まで在籍するメンバー。歌舞伎を思わせる独特の衣装とパフォーマンスで知られる。
青木秀麻呂 (Gt): メジャーデビュー時のメンバー。脱退後、自身のバンドを結成するも、後にカブキロックスに復帰。
坂川美女丸 (Gt): メジャーデビュー時のメンバー。脱退後、復帰している。
胡縞武蔵 (Bs): ベースを担当。デザインセンスにも優れ、カブキロックスのオフィシャルTシャツのデザインなども手がける。
* 三柴三蔵 (Dr): ドラムを担当。

ディスコグラフィー

カブキロックスは、シングル、アルバム、ビデオソフトなどを多数リリースしています。初期のアルバムには歌舞伎の演目をモチーフにした楽曲が多く含まれており、時代劇風アレンジも特徴的です。

タイアップ

アニメ『ドラゴンクエスト』のエンディング主題歌、映画『1990牡丹燈篭』への出演など、様々なタイアップにも参加しています。

その他

本稿では、カブキロックスの音楽性、歴史、メンバーの活動について、詳細に記述しました。歌舞伎とロックという異色の融合によって生み出された独特の世界観と、激動の時代を生き抜いてきた彼らの物語は、多くのファンを魅了し続けています。彼らの音楽は、時代を超えて聴き継がれるに違いないでしょう。

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