カブトビール

カブトビール：幻の銘酒、その歴史と復刻

カブトビールは、1898年（明治31年）から1943年（昭和18年）にかけて製造されていた、日本のビールです。2016年には復刻版が発売され、再びその味を楽しむことができるようになりました。

丸三麦酒時代：誕生と躍進

1887年（明治20年）、中埜酢店の4代目である中埜又左衛門と、その甥で後に敷島製パンの創業者となる盛田善平が、丸三麦酒醸造所を設立しました。1889年（明治22年）5月には「丸三ビール」として初めて出荷されます。

1896年（明治29年）に丸三麦酒株式会社として法人化し、1898年（明治31年）10月31日には、愛知県半田市榎下町に工場を新築。この工場は、後に半田赤レンガ建物として整備されることになります。この時、銘柄を「加武登麦酒（カブトビール）」に改めました。

カブトビールの名前の由来には諸説あります。ビールを勢い良く「かぶる」様子から名付けられたという説や、日清戦争後の時代背景から、勇ましい兜の商標を用いたという説などがあります。

1900年（明治33年）のパリ万国博覧会では金牌を受賞し、当時は東海地方で最大のシェアを誇るなど、その人気は非常に高いものでした。

日本麦酒鑛泉・大日本麦酒時代：合併と終焉

1906年（明治39年）12月、根津嘉一郎が経営権を譲り受け、日本第一麦酒株式会社となりました。その後、1908年（明治41年）に加富登麦酒株式会社へと社名を変更します。1922年（大正11年）には帝国鉱泉株式会社と日本製壜株式会社を合併し、日本麦酒鑛泉株式会社に改称しました。

1933年（昭和8年）7月、大日本麦酒株式会社と合併。しかし、1943年（昭和18年）には企業整備令の適用により、半田工場を閉鎖し、カブトビールの製造は終了しました。

復刻：再び味わえる幻のビール

2004年（平成16年）1月、市民団体「赤煉瓦倶楽部半田」がカブトビールを復刻するプロジェクトを企画しました。同年3月には、製造委託先を南知多町の知多麦酒株式会社とすることを決定しました。

2005年（平成17年）6月、半田赤レンガ建物の第4回特別公開時に、「復刻明治カブトビール」が3,000本限定で販売され、大きな話題となりました。

2015年（平成27年）7月18日には、半田赤レンガ建物がリニューアルオープンし、常時公開されるようになりました。そして、2016年（平成28年）7月、半田赤レンガ建物「リニューアル１周年感謝祭」にて、「復刻大正カブトビール」の販売が開始され、再びその味を楽しむことができるようになりました。

カブトビールは、時代の波に翻弄されながらも、人々の記憶に残り、そして現代に復刻した、まさに幻の銘酒と言えるでしょう。半田赤レンガ建物を訪れた際には、ぜひその歴史と味わいを感じてみてください。

関連情報

半田赤レンガ建物：半田市公式サイト
赤煉瓦倶楽部・半田
* 知多麦[酒]]株式会社：[公式サイト - 復刻版カブトビールの製造元

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