カブトムシ (aikoの曲)

aiko通算4作目のシングル『カブトムシ』：楽曲、制作秘話、そしてその後の影響

1999年11月17日、aikoのメジャー4作目となるシングル『カブトムシ』がポニーキャニオンよりリリースされました。前作『花火』から約3ヶ月ぶりのリリースとなり、このシングル発売日にはaikoのラジオ番組『aikoの@llnightnippon.com』もスタートするという、aikoにとって大きな転換期を象徴する作品となりました。

シングル『カブトムシ』の概要と特徴

『カブトムシ』は、TBS『CDTV』1999年12月期エンディングテーマ、フジテレビ『ジョビれば!?』エンディングテーマにタイアップされた楽曲です。表題曲「カブトムシ」は、aiko自身が「昆虫界最強とされるカブトムシは、実は甲羅を剥がすと脆く、寂しい一面も持っている」という視点から、恋する自身の複雑な心情を表現したと語っています。夏の虫であるカブトムシを冬の虫だと勘違いしていたというエピソードや、ラジオ番組生放送後、勢いのままに制作されたという裏話も、楽曲に独特の雰囲気を与えています。当初はカップリング曲として予定されていましたが、プロデューサーの助言により表題曲に抜擢されたという経緯も興味深い点です。

ミュージックビデオは「イメージスタジオ109」で撮影され、大熊一成氏が監督を務めました。また、初回限定盤はカラートレイ仕様が採用され、歌詞カードは両面にaikoの写真が印刷された3つ折り仕様という凝った作りになっています。ディスクレーベルの色も、通常盤が赤色であるのに対し、初回限定盤はオレンジ色と、細部にもこだわった作品と言えるでしょう。

さらに、『カブトムシ』は海外でも人気を博し、2000年6月4日付の香港のFMラジオ局「CR-2」のリクエストチャートで1位を獲得しました。これは日本人アーティストとして4組目の快挙でした。2020年にはミュージックビデオのフルバージョンがYouTubeで公開され、ストリーミングサービスでの配信も開始。3月にはBillboard Japan Hot 100で12位にまで上昇するなど、現在もなお高い人気を誇っています。

カップリング曲には「桃色」（NTTドコモ『DoCoMo502i』CMソング、毎日放送『水野真紀の魔法のレストラン』エンディングテーマ）、「恋人」が収録されています。aikoのソングライティング、そして島田昌典氏による編曲のセンスが光る、聴き応えのある作品に仕上がっています。

『カブトムシ』のカバーと影響

『カブトムシ』は多くのアーティストによってカバーされています。特に有名なのは、2013年のAAAイベント『昭和八十八年度! 第二回ひとり紅白歌合戦』でサザンオールスターズの桑田佳祐さんがカバーしたバージョンです。aiko本人も会場に訪れていたというエピソードは、音楽シーンにおけるaikoと桑田佳祐さんの繋がりを感じさせます。また、2017年には上白石萌歌さんがキリンビバレッジ「午後の紅茶」のCMでカバーし、新たな世代へもaikoの楽曲の魅力が伝わるきっかけとなりました。

『カブトムシ』は、aikoの音楽的キャリアにおける重要なマイルストーンと言えるでしょう。楽曲そのものの魅力に加え、その後のシングル・アルバムの初回限定盤の仕様、aikoの音楽活動に大きな影響を与えた楽曲として、音楽史に名を刻む1曲です。 aikoの初期の代表作として、これからも多くの人々に愛され続けることでしょう。 その魅力は、時代を超えて聴き継がれていくことでしょう。

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