カボタージュ

カボタージュ制度について

概要

カボタージュ（Cabotage）とは、同一国の港同士で行われる沿岸輸送、つまり内航海運を指します。また、空港間での国内輸送についてはエア・カボタージュまたは航空カボタージュと呼ばれます。この制度は国家の安全保障や経済的理由から、自国籍の船舶に限って沿岸輸送を行うことを義務付けています。

カボタージュ制度の歴史

アメリカ合衆国では、1817年から現在までカボタージュ政策が継続しており、国内輸送の保護が行われています。日本でも1899年に制定された船舶法第3条によりカボタージュ制度が明文化され、国際競争からの保護が図られてきました。この法律は、国内市場における自国資本の船舶に有利な環境を整えることを目的としています。

日本におけるカボタージュの現状

例えば、日本のクルーズ業務は自国籍船のみを利用することが求められているため、外国の便宜置籍船（パナマやリベリア船籍など）による国内運航は認められていません。この規制があるため、日本のクルーズ業者は日本籍の船舶を使用せざるを得ず、その結果としてクルーズ料金が高騰する要因とされています。

カボタージュの利点と欠点

一方で、もしカボタージュ規制が無ければ、国内航路において便宜置籍船が参入でき、クルーズ料金や海運コストが低下する可能性があります。しかし、これにはいくつかのリスクも伴います。便宜置籍船の激増により、国の税収が減少し、国内の海運業界が影響を受けることが考えられます。更に、監視が不十分な便宜置籍船が運航されることになれば、安全性に対する懸念も生じます。

国内の声

日本内航海運組合総連合会は、カボタージュ制度の緩和は単なる経済問題ではなく、国民保護や緊急輸送能力に対する危険を含んでいると主張し、規制を維持することに賛成しています。例えば、福島第一原子力発電所の事故時、外国籍の船舶が放射性物質への曝露を恐れて国内の寄港を拒否した一方で、日本籍の船舶は輸送業務を継続しました。

事例

さらに、JR九州高速船に納入されたパナマ船籍のクイーンビートルの国内運航について、関係団体が反対意見を表明しましたが、国土交通省は特定の条件下で運航を許可しました。この事例は、カボタージュ制度の適用と運用における複雑さを示しています。

結論

国際的に市場の開放が進む中でも、カボタージュ制度に関する議論は続いています。経済的利益と国家の安全保障、そして国際競争のバランスをどう取るかは、今後の課題と言えるでしょう。

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