船舶法

船舶法とは

船舶法（明治32年法律第46号）は、日本船舶に対する行政的な保護と取締りを目的として制定された日本の法律です。この法律は、日本船舶の国籍要件、法的効果、船舶登記、船舶登録、船舶国籍証書などについて詳細に規定しています。

船舶法の適用

船舶法において船舶の定義は明示されていませんが、社会通念上の船舶、すなわち「物の浮揚性を利用して、水上を航行する用に供される一定の構造物」を指すと解釈されています。これは、商法における船舶の定義とは異なり、より広範な概念を対象としています。

ただし、船舶法や商法における登記や登録義務は、自航能力を持たない船舶には適用されません。また、沈没船や座礁船も船舶として扱われますが、推進機を持たない浚渫船や台船などは、原則として船舶とはみなされません。

適用除外

以下の船舶には、船舶法の全部または一部が適用されません。

海上自衛隊の船舶
総トン数20トン未満の船舶、端舟、ろかい舟等

ただし、総トン数20トン未満の漁船については、一部規定が適用されます。総トン数20トン以上の船舶は、漁船であっても船舶法の適用を受けます。

小型船舶

漁船を除く総トン数20トン未満の船舶（小型船舶）の登録や総トン数の測度に関する事務は、小型船舶の登録等に関する法律に基づき、日本小型船舶検査機構（JCI）が行っています。小型船舶は、登録を受けなければ航行することができません。

日本船舶の国籍要件

国際法上、船舶は国籍（船籍）を持つ必要があり、船舶と旗国との間に「真正な関係」が必要です。日本では、船舶所有権の全部を必要とする所有者主義を採用しており、以下のいずれかの要件を満たす必要があります。

1. 日本の官庁または公署の所有に属する船舶
2. 日本国民の所有に属する船舶
3. 日本の法令により設立した会社で、代表者全員と業務執行役員の3分の2以上が日本国民であるものの所有に属する船舶
4. 上記以外の法人で、日本の法令により設立し、代表者全員が日本国民であるものの所有に属する船舶

日本船舶の特権・義務

特権

国旗掲揚権: 日本国籍を持つ船舶であることを示す。
不開港場への寄港及び沿岸貿易権: 日本船舶のみが、日本の不開港場への寄港や、日本国内の港間での物品・旅客の輸送を行うことができる。

義務

登記・登録の義務: 日本に船籍港を定め、管海官庁に総トン数の測度を申請し、登記・登録を行う。
国旗の掲揚・標示の義務: 日章旗を掲げ、船名、船籍港、総トン数などを標示する。
船舶国籍証書の検認を受ける義務: 定期的に船舶国籍証書の検認を受ける。

船舶の公示・識別

船舶の公示

日本では、船舶登記と船舶登録の二元制度が採用されています。船舶登記は、船舶に関する権利変動を公示する私法上の目的を持ち、船舶登録は、船舶の国籍を証明し、行政上の取締りや管理を行う公法上の目的を持ちます。

船舶の識別

船籍港: 船舶が登録され、船舶国籍証書が交付される地であり、船舶の主たる根拠地を意味します。
* 船舶の総トン数: 船舶の大きさを示す指標であり、船舶の登記・登録や法令の適用基準、課税基準などに用いられます。

船舶国籍証書

船舶国籍証書は、船舶が日本国籍を有することを証明する公文書であり、船舶の個性や同一性を証明します。総トン数20トン以上の日本船舶に対して、船舶登録後に交付されます。船舶国籍証書は、船舶の国籍を証明するだけでなく、総トン数や尺度を証明する機能も有します。

船舶国籍証書の交付を受けた船舶は、法令に別段の定めがある場合を除き、日本の国旗を掲揚し、航行することができます。また、船舶国籍証書は、船舶所有権移転の対抗要件ともなっています。

船舶国籍証書の記載事項に変更が生じた場合は、速やかに書換申請を行う必要があります。船舶国籍証書の代わりに、仮船舶国籍証書が交付される場合もあります。

まとめ

船舶法は、日本船舶の安全な航行と管理を確保するために、非常に重要な法律です。船舶の所有者や運航者は、この法律を遵守し、適切な手続きを行うことが求められます。

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