カミカゼ☆エクスプローラー!

『カミカゼ☆エクスプローラー!』

2011年5月27日にアダルトゲームブランド、クロシェットから発売された作品です。同ブランドの第4作にあたり、同年8月26日には通常版もリリースされました。地球環境の激変により海面が上昇し、限られた陸地での生活を余儀なくされる近未来を舞台に、特殊能力「メティス」を持つ若者たちの学園生活と彼らが直面する出来事を描く学園ドラマです。

世界観と物語

海面上昇が進んだ時代、若者たちの間で「メティス」と呼ばれる未知の力が発現し始めます。主人公である速瀬慶司は、エージェントである汀薫子にその才能を見出され、メティス能力者を育成する目的で設立された澄之江学園へ特別に編入します。学園で自身のメティス「ジョーカー」に目覚めた慶司は、学園内の非公認組織「学園都市調査研究会」、通称「アルゴノート」に加わります。アルゴノートのメンバーは、それぞれ異なるメティスを持つ個性豊かなヒロインたちであり、慶司は彼女たちと共に学園内で発生する様々な問題や事件に立ち向かい、絆を深めていきます。物語は、彼らがメティスを巡る謎や自身の能力、そして仲間との関係を通して成長していく姿を中心に展開されます。

舞台となるのは、海没した都市を埋め立てて作られた複合学園都市「上ヶ瀬市」に位置する澄之江学園です。この学園はメティスパサーの育成だけでなく、研究機関としての側面も持ち合わせており、国内でも最先端のメティス研究が行われています。生徒は原則として全寮制で、同性・同学年での相部屋が基本です。女子寮「常若寮」は豪華な設備を持ち、男子寮「凪波寮」は比較的質素な造りとなっています。

登場人物

物語の中心となる主要なキャラクターには、それぞれのメティス能力があります。

速瀬 慶司（はやせ けいじ）：主人公。洞察力に優れ、アルゴノートの中心的存在。メティス「ジョーカー」は他者のメティスをコピーする能力。
姫川 風花（ひめかわ ふうか）：慶司のクラスメイト。明るく努力家な優等生。メティス「アイギス」は空気の壁で防御する能力。
祐天寺 美汐（ゆうてんじ みしお）：学園設立に関わった財閥令嬢で、アルゴノートを結成。高飛車に振る舞うが根は優しい。メティス「プロミネンス」は炎を操る能力。
速瀬 まなみ（はやせ まなみ）：慶司の妹で筋金入りのブラコン。元気で人懐っこい。メティス「ペネトレイター」は物を硬化させ貫通力を与える能力。
沖原 琴羽（おきはら ことは）：慶司の幼馴染で人気者。メティス「マーメイド」は水中活動能力と液体操作能力。
宇佐美 沙織（うさみ さおり）：風紀委員「特別取締り班」班長。小柄だが真面目で面倒見が良い。メティス「アンブラ」は影を操り、使い魔を生み出す能力。

その他にも、美汐の付き人である近濠菜緒（メティス「イカロス」：飛行能力）や景浦智（剣術の達人）、学園の顧問教師である朝比奈洋子、主人公をスカウトした汀薫子（メティス「ディスカヴァリー」：メティス波視覚化能力）、主人公のルームメイトである浜北航平などが物語を彩ります。

メティスと関連用語

メティスは作中の根幹を成す特殊能力で、約500人に1人の割合で発現するとされます。能力者は「メティスパサー」と呼ばれ、能力の発現には本人の潜在的な欲求が反映されると考えられています。能力を自分の意志で制御するためには、その能力に付与された固有の名称である「メティスネーム」を認識する必要があります。メティスパサーの脳波の強度を示す「MWI値」も、能力の指標として用いられます。

学園内の主要な組織として、「アルゴノート」と、風紀委員会の「特別取締り班」があります。アルゴノートは学園内の事件解決を目的とする団体で、特別取締り班は主にメティスパサー絡みの問題に対応します。

開発と評価

本作は企画段階から、少年マンガのような勢いとテンポの良いストーリー展開、アクション描写が意識されました。環境変化による水没という設定は、他の超能力作品との差別化を図るために導入されています。タイトルに含まれる「カミカゼ」は、舞台となる上ヶ瀬市に伝わる神風伝説に由来するとされています。

商業的にも成功を収め、約4万本のセールスを記録したと報じられました。また、作中に登場する特定の制服デザインが、ユーザーの間で「乳袋」という言葉が広まるきっかけになったという反響も特筆されます。萌えゲーアワード2011では、大賞部門銀賞をはじめ、グラフィック賞金賞、キャラクターデザイン賞、エロス系作品賞PINK金賞の計4部門を受賞するなど、批評的な評価も得ています。

関連商品として、ビジュアルファンブック、コミカライズ、サウンドトラックCDが発売されています。

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