カミガモソウ

カミガモソウ（Gratiola fluviatilis）

カミガモソウは、日本にのみ分布する一年草で、オオバコ科・オオアブノメ属に分類されます。主に本州、四国、九州、南西諸島で見られるこの植物は、特に京都府の上賀茂神社で1920年に発見され、その後1925年に正式に記載されました。

分布

カミガモソウは、日本全国の特定地域に生息しています。本州では三重、京都、兵庫に分布し、四国の高知や、九州の長崎、宮崎、さらには南西諸島の奄美大島でも確認されています。これらの地域はカミガモソウにとって重要な生育環境となっています。

特徴

カミガモソウは、全体が短い毛に覆われており、葉は触れるとザラザラとした印象を与えます。茎は赤紫色で多肉質で、円柱状の形をしており、高さは通常10cmから20cm程度に成長します。特にユニークなのは、茎が下部で多くの枝に分岐し、横に伸びてやや倒れるところです。

葉は柔らかく、柄がついていて、主に卵形または倒卵形をしています。葉の縁には鋸歯状の突起があります。カミガモソウの花の咲く時期は主に8月下旬から10月上旬で、白色の花を咲かせます。花は5枚に裂けており、サイズは約7mmと小さめですが、可憐さを際立たせています。通常、9月上旬までは通常の花が咲きますが、以降は閉鎖花の形が多く見られます。

果実はやや扁平で、直径約6mmの広卵形をしています。果実は熟しても緑色を保ち、上を向いた状態で4つに裂けて、内部の種子を露出させます。種子の色は茶褐色で、サイズは約1.0-1.2mmです。

保全状況

カミガモソウは、絶滅危惧IB類（EN）に指定されています。以前は絶滅危惧IA類に分類されていましたが、2007年から現在の評価に変更されました。この評価は、環境省のレッドリストに基づいています。これからの保護活動が求められる植物の一つです。

脚注と参考文献

カミガモソウに関する情報を得るためには、「植物分類・地理」や「原色日本植物図鑑」などの専門書が役立ちます。これらの書籍には、カミガモソウの新たな産地に関する研究や、形態の詳細な解析が記載されています。

カミガモソウは、その美しさや生態的価値からも多くの人々に注目されている植物です。保護の重要性が増す中で、これからどのようにこの植物を守っていくかが問われています。

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