カミザールの乱は、
1702年から
1705年にかけて
フランス王国で発生した、
プロテスタント(ユグノー)による反乱を指します。この紛争は、フランス南部セヴェンヌ山脈を中心に展開し、王国軍はこの反乱を鎮圧するのに3年の歳月を要しました。この事件はセヴェンヌ戦争とも知られています。
背景
この反乱の背景には、フランス王ルイ14世による
プロテスタント弾圧があります。
1685年に発布されたフォンテーヌブローの勅令では、
プロテスタントに対する迫害が強化され、多くの信者が国外へ逃れることを余儀なくされました。しかし、改宗せずに残留した信者も少なくなく、彼らは山や
洞窟に隠れながらも、神秘的な「
予言」を掲げて信者を集めていきました。
文化と宗教の圧力に対抗する動きが強まる中、ラングドックの
総督ニコラ・ド・ラモワニョン・ド・バヴィルは、厳しい
弾圧を続けました。彼の支配下では、信者が捕らえられ、
火刑や追放の刑にされることが一般的でした。このような状況が続く中、セヴェンヌ地域での反発が強まり始めました。
反乱の発端
1702年、反乱の引き金となる出来事が発生しました。
弾圧を担当していたシェーラ
神父が民衆の怒りを買い、彼が捕らえられたことで抗議行動が起こりました。この抗議の中で、シェーラは殺害され、これを契機に
プロテスタントたちは森に集まり、徹底した抵抗を決意しました。
指導者としてピエール・ラポルト (通称ロラン)やジャン・カヴァリエが現れ、
ゲリラ戦に突入します。その後、バヴィルやブロイ伯は反乱者を追い詰めるために、さらなる
弾圧を展開しましたが、予測以上に反抗的な動きも見せるようになりました。
事態は深刻化し、1703年には王宮側も事態の重大性を認識し、モントゥルヴェル侯が派遣されます。彼は白カミザール部隊を編成し、反乱者に対抗を試みましたが、各地での残虐行為が逆に
プロテスタントの士気を高めてしまいます。
戦闘の展開
1704年にはヴィラールが新たに指揮を執り、和平交渉を提案する一方で、反乱軍の分裂を狙う戦略を採ります。この和平交渉に対する受け止め方は、カヴァリエとロランの間で対立を生むきっかけとなりましたが、カヴァリエは宮廷へ出向くことを選び、その間にロランは仲間の裏切りで命を落とします。
このようにカミザールの乱は、内部分裂や和平交渉の試みなど、複雑な経緯を経て終息に向かいました。最終的に、
1705年にはフランスの体制がことごとく刷新され、残された
プロテスタントの多くは国外へ逃れることとなりました。
影響
反乱鎮圧後、カヴァリエは仕官としての経歴を求めましたが、不満を抱えるようになりイングランドに
亡命しました。彼はアルマンサの戦い(
1707年)に参加した後、
1740年には回想録を出版し、戦乱の日々を振り返ることになります。同様に、他の多くの
予言者も反乱後は国外に逃れることを選びました。このように、カミザールの乱はフランス国内の
プロテスタントの運命を大きく変える出来事となりました。