アルマンサの戦い

アルマンサの戦い（1707年）

アルマンサの戦いは、スペイン継承戦争における主要な戦闘の一つとして、1707年4月25日に現在のスペイン、カスティーリャ＝ラ・マンチャ州アルバセーテ県の都市アルマンサで繰り広げられました。この戦いは、イギリス・オランダ・ポルトガル同盟軍とスペイン・フランス連合軍の間で発生し、その後のスペインにおける勢力図を大きく変動させる要因となりました。

戦いの背景

1706年、スペイン王フェリペ5世による第2次バルセロナ包囲戦が同盟軍の抵抗により失敗に終わると、ポルトガル、カタルーニャ、バレンシアに拠点を置く同盟軍は、フェリペ5世を支持するカスティーリャの首都マドリードへの進軍を試みました。ゴールウェイ伯ヘンリー・デ・マシュー、ピーターバラ伯チャールズ・モードント、カール大公らは、フェリペ5世が一時的に放棄したマドリードに入城を果たします。しかし、マドリード市民の抵抗は予想以上に強く、同盟軍はバレンシアへの撤退を余儀なくされました。フェリペ5世が再びマドリードに戻り、戦線は膠着状態に陥ります。

1707年、イギリス本国は問題行動が多かったピーターバラを召還。ゴールウェイ伯がイギリス軍の司令官として、ミナス侯アントニオ・ルイス・デ・ソーサと共にバレンシアからのマドリード再進出を決定します。しかし、カール大公はバレンシアの守備に留まることとなり、ゴールウェイ伯はオランダ・ポルトガル同盟軍を率いるものの、万全とは言えない態勢での出陣となりました。一方、フェリペ5世の陣営には、フランス軍の将軍であるベリック公ジェームズ・フィッツジェームズが派遣され、マドリードから東進を開始します。フランス王ルイ14世も、孫であるフェリペ5世を支援するために援軍を送りました。

戦闘の経過

4月25日、両軍はマドリード東方のアルマンサで激突します。戦闘は、スペイン・フランス連合軍による大砲の砲撃で幕を開け、連合軍右翼の騎兵隊と歩兵隊が連携し、イギリス軍左翼を打ち破ります。中央部では、イギリス・ポルトガル歩兵隊とユグノー連隊が奮戦するものの、スペイン軍左翼のフランス騎兵隊が同盟軍右翼のポルトガル騎兵隊を圧倒。同盟軍は側面からの攻撃を受け、総崩れとなります。ゴールウェイ伯は、わずか5000人の兵を率いてカタルーニャへと逃れましたが、残りの兵士は戦死または捕虜となりました。結果として、スペイン・フランス連合軍が圧倒的な勝利を収めます。

スペイン・フランス連合軍の損害は死傷者3500人であったのに対し、イギリス・ポルトガル同盟軍の損害は死傷者5000人、捕虜12000人にも達しました。この戦いには、カミザールの乱でフランスに対して反乱を起こしていたジャン・カヴァリエも同盟軍に加わっており、ユグノー連隊を率いてイギリス軍の下で戦いました。

戦後の影響

戦後、ベリック公はスペインにおける同盟軍の拠点を制圧するため進軍し、5月にはバレンシアを陥落させました。フランスからの援軍を率いたオルレアン公フィリップ2世もアラゴンを平定し、カール大公の拠点はカタルーニャのみとなります。11月には、バレンシアの都市レリダもスペイン軍に占領され、スペインにおける同盟軍は大きな打撃を受けました。アルマンサの戦いでの勝利により、フェリペ5世はスペインの大部分を制圧することに成功しました。

参考文献

ヴォルテール著、丸山熊雄訳『ルイ十四世の世紀（二）・（三）』岩波文庫、1974年、1982年。
松村赳・富田虎男編『英米史辞典』P16 - P17、研究社、2000年。
* 友清理士『スペイン継承戦争 マールバラ公戦記とイギリス・ハノーヴァー朝誕生史』彩流社、2007年。

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