カメハメハ・スクール

カメハメハ・スクールは、アメリカ合衆国ハワイ州に設立された、ハワイの人々の子弟教育を目的とする私立学校です。この学校は、カメハメハ王朝の王女であり、多大な遺産を残したバーニス・パウアヒ・ビショップの遺愛の精神に基づいて設立・運営されています。彼女の遺志を継ぐエステート（財団）によって管理され、ハワイの未来を担う若者たちの育成に貢献しています。

学校の歴史は古く、1887年にオアフ島ホノルルで男子校として開校したのが始まりです。当初は現在のビショップ博物館の敷地に隣接していましたが、後にキャンパスは移転し、開校時の校舎は博物館の一部となりました。女子校は1894年に始まり、長い歴史を経て1965年には男女共学へと移行しました。オアフ島の主要キャンパスは、1931年に現在のカパラマ高地に移転しています。さらに教育機会を広げるため、1990年代後半から2000年代初頭にかけて新たなキャンパスが開設され、マウイ島のプカラニ校は1996年に、ハワイ島のケアアウ校は2001年にそれぞれ設立されました。

カメハメハ・スクールでは、プリスクール（幼稚園）から12年生（高校最終学年）までの幅広い教育課程を提供しています。教育は主に英語で行われ、国内外の大学への進学を目指す生徒たちに高度な学力と準備を身につけさせることに重点を置いています。同時に、ハワイの豊かな文化と伝統を尊重し、継承することも教育の重要な柱です。ハワイ語やハワイの歴史、文化に関する授業がカリキュラムに深く組み込まれており、生徒たちが自身のルーツに対する理解を深め、ハワイ人としてのアイデンティティを育むことを支援しています。プリスクールの教育は、主要3キャンパスだけでなく、ハワイ州内の21か所でも展開されており、より広い範囲の幼い子供たちに教育の機会を提供しています。

学校の規模は大きく、2011年から2012年度の統計によると、3つの主要キャンパスには合計5,398名の生徒が在籍していました。また、プリスクールには1,317名の子供たちが学んでいます。カメハメハ・スクールは、自校の生徒だけでなく、ハワイ全体の教育向上にも貢献しており、2011年には、他の公立学校などに通う約47,000人ものハワイ人生徒に対し、経済的な援助や奨学金を提供しています。これは、設立者バーニス・パウアヒ・ビショップの「ハワイ人のための教育」という広い意味での遺志を体現する活動と言えるでしょう。

ただし、カメハメハ・スクールは選抜性の学校であり、全てのハワイ人が入学できるわけではありません。入学には厳しい選考があり、キャンパスによって異なりますが、志願者のうち入学が許可されるのは7%から24%程度と、高い競争率となっています。この選抜は、提供できるリソースの中で、最も必要とされる生徒や学校の教育方針に合致する生徒を選び、質の高い教育を維持するために行われています。

学校はまた、ハワイの文化芸術分野においても影響力を持っています。例えば、19世紀末に活躍したプロイセン出身の楽長、ヘンリー・バーガーは、カメハメハ・スクールの音楽教育課程の創設に深く関わりました。これは、カメハメハ・スクールが単に学術的な教育機関としてだけでなく、ハワイの文化や芸術の発展にも貢献してきた歴史があることを示しています。

もう一度検索