楽長

楽長（がくちょう）

楽長という言葉は、欧州における音楽団体の指導者を指す「カペルマイスター（Kapellmeister）」に相当し、指揮者としてだけでなく、その楽団の作曲家や編曲者としての役割も果たしてきました。この職業は、特に15世紀から19世紀にかけての音楽団体における創造的な中心人物として重要な役割を果たしました。

楽長の歴史的背景

楽長の役割は、単なる指揮者だけではなく、組織全体を統率する重要な責任を伴っていました。たとえば、宮廷楽長（ドイツ語: Hofkapellmeister）には、ヨーゼフ・ハイドンやアントニオ・サリエリといった著名な音楽家が名を連ねていました。この時代、楽長は公的に名誉称号を授与されることがありました。

18世紀半ばには、特定の劇場に楽長が配置され、公演や演目の更新に尽力するようになりました。特に19世紀中ごろには、アドルフ・ミュラー1世が新曲を600以上作成し、フランツ・フォン・スッペが舞台作品の稽古をしながらオペレッタを作り出すなど、楽長がもたらす創造力が注目を集めました。

弦楽器を含む楽団では、コンサートマスターが楽長も務めることが一般的で、特に舞曲においてその傾向が強く見られました。ヨハン・シュトラウス1世やヨハン・シュトラウス2世は、楽団を率いる一方で新曲に取り組むという二つの役割を担っていました。

日本における楽長

日本において楽長は、1872年から1876年にかけて海兵隊の下士官の官名として使われ、楽隊長や楽隊次長に次ぐ位置付けでした。その後、104年から1883年にかけて日本陸軍の軍楽部准[[士官]]となり、同時期に日本海軍の軍楽隊でも同様の役割を果たしました。

軍楽長の役割

さらに、軍楽長という官名は1883年から1885年にかけて日本陸軍によって使用されました。この役職は、次第に士官として昇格する流れとなり、1900年頃には日本海軍でも認められました。その後、1915年から1920年にかけては特務士官に分類されました。陸軍楽長としては1899年から1937年まで存在し、軍楽部の士官として音楽を指導しました。

軍楽隊の進級について

日本海軍における楽長の表現としては、善行章を一つ着けた二等兵を指す俗語として使用されることがありました。この表現は、3年以上勤務しても一等兵に進級できないという事実が、人物に問題があることを示しているとみなされ、新兵から恐れられる存在となりました。これは軍楽隊の昇進が他の部隊に比べて遅いことに由来します。

結論

楽長という役職は、単なる音楽指導を超え、音楽の創造的な推進者であることを求められてきました。ヨーロッパにおける長い歴史と、日本における発展を通じて、楽長は音楽界に欠かせない存在であり続けています。

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