カラケニ族

カラケニ族：古代アペニン山脈に生きたサムニウムの一族

カラケニ族（羅: Caraceni, 希: Καρακηνοὶ）は、古代ローマ時代にアペニン山脈に居住していたサムニウム人の一部族です。彼らの名は、発音の違いにより「カリキニ（Caricini）」または「カッリキニ（Carricini）」とも表記され、古代ギリシア語では「カリキノイ（Καρίκινοι）」とも呼ばれていました。

カラケニ族の概説

2世紀の学者クラウディオス・プトレマイオスは、カラケニ族をサムニウム系部族の最北部に位置づけました。彼らはサングロ川上流の渓谷地域に住み、パエリグニ族やフレンタニ族と境界を接していたと伝えられています。プトレマイオスの記録には、カラケニ族の都市としてアウフィデナが登場します。ローマがこの都市を攻略するのに長い年月を要したという記述から、その抵抗の強さが伺えます。

カラケニ族の支配地域は、北でフレンタニ族、南でペントリ族の一部、東でルカニ族、西でペリグニ族と接していました。彼らは部族内で2つの小部族に分かれていました。ユウァヌムを中心とするカリキニ・スペルマテス（Caricini supernates）と呼ばれる北部部族と、クルウィアエを中心とするカリキニ・インフェルマテス（Caricini infernates）と呼ばれる南部部族です。これらの部族は、サムニウム人同士で構成される緩やかな連邦の一角を担い、サムニウム戦争や同盟市戦争でローマと対立しました。

カラケニ族は、第二次サムニウム戦争の際にローマの支配下に入り、その後ローマ人と同化していったと考えられています。

大プリニウスの著作にもカラケニ族に関する記述が見られますが、プリニウスは彼らをカレンティニと記述し、フレンタニ族の一部族として扱っていました。このことから、カラケニ族の出自や分類については、古代においても様々な見解が存在していたことがうかがえます。

カラケニ族は、古代イタリアの歴史において、ローマとの戦いを通じてその名を残しました。彼らの存在は、当時の部族社会やローマとの関係を理解する上で重要な要素となっています。

脚注

クラウディオス・プトレマイオス。
大プリニウス。

関連項目

* サムニウム

もう一度検索