サムニウム

サムニウム：古代イタリアの山岳民族

サムニウム（ラテン語：Samnium）は、古代ローマ時代にイタリア半島のアペニン山脈南部に存在した地域を指します。この地に居住していた人々はサムニウム人（英語：Samnites）と呼ばれ、ローマの台頭期に激しく対立した民族として知られています。

サムニウム人の歴史と特徴

サムニウム人は、オスク・ウンブリア語群に属する民族で、紀元前600年頃から紀元前290年頃にかけて勢力を誇りました。彼らの居住地は、北はラティウム地方、南はルカニア地方、西はカンパニア地方、東はアプリア地方と接する山岳地帯でした。この地域は険しい山々が多く、天然の要害となっていました。

サムニウム人は、複数の部族が緩やかに連携した連合組織を形成していました。彼らは領土拡大にはあまり関心がなく、山岳部族として生活していましたが、短期間ではあるものの、イタリアの東西沿岸にまたがる地域を支配したこともありました。ローマのような中央集権的な権力体制は持たず、中心的な都市としては、ボワイアノムやマルウェントゥムといった都市が知られています。

ローマとの抗争：サムニウム戦争

サムニウム人は、王政ローマ、そして共和政ローマと幾度となく争いました。特に有名なのが、長期間にわたって繰り広げられたサムニウム戦争です。この戦争では、ローマ軍が「カウディウムの屈辱」に代表されるような敗北を喫することも度々ありました。しかし最終的にはローマが勝利し、サムニウム人はローマとの和睦を受け入れ、同盟市戦争のような例外的な出来事はあったものの、徐々にローマ社会に同化していきました。

サムニウム人の文化

剣闘士の中には、「サムニウム闘士（Samnis）」と呼ばれる、サムニウム人の武装を模した鎧を身につけて戦う者がいました。これは、サムニウム人が勇敢な戦士として認識されていたことを示しています。

サムニウム人の部族

サムニウム人は、主に以下の4つの部族に分かれていました。

ペントリ族
カラケニ族
カウディニ族
ヒルピニ族

また、フレンタニ族もサムニウム人と親密な関係にあり、サムニウム人の連合に加わっていたという説もあります。しかし、これらの部族を明確に区別することは難しく、歴史的な記録も、サムニウム人がローマ人に同化してからの後世、帝政ローマ時代のものがほとんどです。そのため、これらの部族はサムニウム人として一括りに扱われたり、あるいは別の部族として区別されたりすることがあります。

部族内の集団がどの範囲まで及んでいたかの定義も曖昧であり、不明な点が多いのが現状です。

関連項目

* サムニウム戦争

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