カラジョルジェヴィチ家

カラジョルジェヴィチ家：セルビアとユーゴスラビアを彩った王家の歴史

カラジョルジェヴィチ家は、セルビア建国の英雄カラジョルジェを始祖とする、近現代セルビア、ユーゴスラビアにおいて重要な役割を果たした王家です。オスマン帝国支配下のセルビアにおいて、ナショナリズムの高まりの中で、カラジョルジェの指導によるセルビア蜂起は大きな転換点となりました。この蜂起を成功の礎に、カラジョルジェヴィチ家はセルビア公国、そしてセルビア王国、ユーゴスラビア王国と、激動の時代を生き抜き、その歴史は20世紀後半まで続きます。

カラジョルジェヴィチ家の主要人物

カラジョルジェ（ジョルジェ・ペトロヴィチ）： 19世紀初頭、オスマン帝国支配からの解放を目指した第1次セルビア蜂起の指導者。セルビア独立運動の父と称えられる重要な人物です。彼の功績はセルビア建国の礎となり、その子孫であるカラジョルジェヴィチ家の隆盛の始まりとなりました。

アレクサンダル・カラジョルジェヴィチ： カラジョルジェの息子。1842年から1858年までセルビア公として君臨しました。セルビアの近代化に貢献したと評価されていますが、その治世は国内の政治的混乱に直面しました。

ペータル1世： アレクサンダル・カラジョルジェヴィチの息子。1903年の王政復古によってセルビア王に即位。第一次世界大戦ではセルビア軍を率いてオーストリア＝ハンガリー帝国と戦い、勝利に貢献しました。その後、セルビア人・クロアチア人・スロベニア人王国、そしてユーゴスラビア王国の国王となります。

アレクサンダル1世： ペータル1世の息子。セルビア人・クロアチア人・スロベニア人王国の国王として即位後、国号をユーゴスラビア王国に改称しました。しかし、独裁的な統治を行ったため、1934年に暗殺されました。

ペータル2世： アレクサンダル1世の息子。1934年に即位しましたが、第二次世界大戦中の1941年にドイツ軍の侵攻を受け、国外に亡命。戦後、ユーゴスラビアが共和制に移行したことにより廃位され、アメリカで亡くなりました。

パヴレ・カラジョルジェヴィチ： アレクサンダル1世の従弟。ペータル2世の摂政を務めましたが、第二次世界大戦中の政治的混乱の中で、その地位を追われました。

アレクサンダル2世： ペータル2世の息子。ユーゴスラビア王位継承に関する特異な逸話を持つ人物です。亡命先のロンドンで誕生したため、王位継承権に疑問が呈されましたが、イギリス政府の特別な措置により、王位継承権が認められました。ユーゴスラビア共和制移行後も王位請求権を維持し、2001年に帰国しました。現在もカラジョルジェヴィチ家の家長として、セルビア王国の王位請求権を有しています。

カラジョルジェヴィチ家の系図と歴史的意義

カラジョルジェヴィチ家は、セルビアとユーゴスラビアの歴史において、非常に重要な役割を果たしました。彼らの治世は、独立運動から王国の建国、そして近代化への道筋を示す重要な出来事であり、その系図はセルビアの歴史そのものを物語っています。 オスマン帝国支配からの解放、バルカン戦争、第一次世界大戦、第二次世界大戦など、数々の激動の時代を経験し、王政の維持とセルビア・ユーゴスラビア国家の形成に貢献しました。しかし、20世紀半ばの共産主義革命により王政は終焉を迎えます。

アレクサンダル2世の帰国は、共和制下のセルビアにおいて、王家と国民の新たな関係を模索する象徴的な出来事となりました。現在もカラジョルジェヴィチ家は、セルビアの歴史と文化の中で、重要な存在感を保ち続けています。

まとめ

カラジョルジェヴィチ家は、セルビアとユーゴスラビアの歴史に深く関わる王家です。その興亡は、これらの国の歴史、そしてヨーロッパの激動の歴史を反映しています。 彼らの歴史を理解することは、バルカン半島の近現代史を理解する上で不可欠です。

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