カラスガイ

カラスガイ（学名：Cristaria plicata）は、イシガイ科に属する淡水生の二枚貝です。地域によってはムラサキイガイをカラスガイと呼ぶことがありますが、これらは全く異なる種です。

分布

カラスガイは、もともと北東アジアを原産地としていましたが、現在では東南アジアの一部にも分布を広げています。しかし、一方で韓国では絶滅危惧種に指定されており、生息状況は地域によって大きく異なります。

ゲノム配列

2011年から2012年にかけて、カラスガイのミトコンドリアDNAの配列が決定されました。これにより、種の系統関係や進化に関する研究が進むことが期待されています。

宿主

カラスガイの幼生は、特定の魚類の体表に寄生して成長します。この幼生期における寄生は、稚貝になるために不可欠なプロセスです。宿主となる魚の種類はカラスガイの種ごとに異なり、ウキゴリやヨシノボリ属（ゴクラクハゼ、シマヨシノボリ）、ヌマチチブなどが利用されていると考えられていますが、まだ十分に解明されていません。この寄生メカニズムは、カラスガイの生態において重要な役割を果たしており、宿主となる魚の種類を特定することは、種の保護や生態系の理解を深める上で重要です。

利用

カラスガイは、古くから人々の生活と密接に関わってきました。

真珠母貝として: 中国では、淡水真珠の母貝として非常に重要な淡水貝とされています。カラスガイから採れる真珠は、その美しさから珍重されています。
薬用: 漢方では、カラスガイの貝殻を「珍珠母」という生薬の原料として利用します。珍珠母には、鎮静作用や解熱作用があるとされ、様々な漢方薬に配合されています。
食用: 日本の霞ヶ浦周辺では、江戸時代から昭和40年代頃まで、カラスガイを「タンカイ（丹貝・田貝・淡貝）」と呼んで食用にしていました。茹でて食べるほか、腐らせて肥料にしたり、貝ボタンの材料として海外へ輸出もされていました。しかし、昭和40年代以降、プラスチックがボタンの主流素材となったため、カラスガイの貝ボタンとしての利用は衰退しました。

このように、カラスガイは、生態系において重要な役割を果たすだけでなく、人々の生活や文化にも深く関わってきた二枚貝と言えます。近年、生息数の減少が懸念される地域もあるため、保護や持続的な利用に関する取り組みが求められます。

参考資料

Bogan, A. (2013). "FADA Bivalvia: World checklist of Freshwater Bivalvia Species" (version Jan 2013). In: Species 2000 & ITIS Catalogue of Life, 11 March 2013 (Roskov, Y.et al., eds). Online: www.catalogueoflife.org/col/. Species 2000: Reading, UK.

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