カラスノゴマ属

カラスノゴマ属（Corchoropsis）

カラスノゴマ属は、黄色い花を咲かせる一年生の草本植物です。東アジア、具体的には中国、韓国、日本に分布しており、日本ではカラスノゴマ（Corchoropsis tomentosa）一種のみが知られています。

特徴

形態: 一年草であり、茎や葉には星状の毛が密生しています。葉は互い違いに生え、葉柄を持つ単葉で、線形の托葉がありますが、これは早期に脱落します。
花: 花は葉の付け根から伸びる花茎に単独で付きます。花の基部には3枚の小さな苞葉があります。萼は5枚で基部が癒合しており、花弁も5枚で、色は黄色です。
雄蕊: 雄蕊は10～15本あり、そのうち5本は仮雄蕊で、他の雄蕊よりも長く、先端が曲がっています。
子房と果実: 子房は3室に分かれており、各室に多数の胚珠を含みます。果実は蒴果で、3つに裂けて種子を放出します。子葉は浅く2つに裂けています。

分布と種

カラスノゴマ属は、中国、韓国、日本を含む東アジア地域にのみ分布し、3種が知られています。これらの種はさらにいくつかの変種に分かれています。
日本ではカラスノゴマ（C. tomentosa）のみが確認されています。

分類上の位置

カラスノゴマ属は、長らくシナノキ科に分類されていましたが、その帰属については議論がありました。アオギリ科に分類されたり、シナノキ科とアオギリ科の中間的な位置にあると考えられたりしたこともあります。

この属が最初に記載された際にはシナノキ科に分類されましたが、20世紀初頭には、その外形がツナソ属に似ているものの、花の構造はアオギリ科のParadombeya属やゴジカ属により共通点が多いことが指摘され、アオギリ科に移す説が提唱されました。さらに20世紀後半には、アオギリ科のドムベヤを含むグループ（族）と近縁であるという説が、形態学、解剖学、細胞学的な証拠に基づいて提唱されました。その後、このグループ全体がアオイ科に分類されることになり、分子系統学的研究もこの分類を支持しています。分子系統解析によれば、カラスノゴマ属は、ドムベヤ亜科の系統に含まれることが判明しました。

このグループを他のアオイ科のグループから区別する特徴としては、花が単生または集散花序であること、萼のように見える苞葉を持つこと、花弁が平らに開くこと、子葉が2つに裂ける傾向があることなどが挙げられます。

利害

特に人間にとっての利用価値は知られていません。

参考文献

佐竹義輔・大井次三郎・北村四郎他『日本の野生植物　草本II 離弁花類』,(1982),平凡社
堀田満、「ツナソ」：『朝日百科 植物の世界 7』、(1997)、朝日新聞社：p.121-123
* Hyosig Won, 2009. Phylogenetic Position of Corchoropsis Diebold & Zucc. (Malvaceae s.l.) Inferred flom Plastid DNA Sequence. J. Plant Biol. 52:p.411-116.

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