アオギリ科

アオギリ科（Sterculiaceae）とは

アオギリ科は、かつて双子葉植物に分類されていた科の一つで、約68属700種もの植物を含んでいました。これらの植物は、高木から草本、さらにはつる性のものまで、非常に多様な形態を示し、主に亜[[熱帯]]や熱帯地域に分布していました。

日本国内では、アオギリをはじめ、南西諸島を中心にノジアオイ（草本）やサキシマスオウノキ（木本）などが分布していました。また、カカオや、かつてコーラ飲料に使われていたコーラもこの科に属しており、人々の生活に密接に関わっていました。

アオギリ科の花は、両性または単性で、アオギリのように花弁が退化して目立たないものから、アオイ科の植物に似た美しい花を咲かせるものまで、多様な形状が見られました。果実もまた、裂開するものがあり、特にアオギリは熟す前に裂開して花のような形になるのが特徴的です。

分類体系の変遷

しかし、現在主流となっているAPG植物分類体系では、アオギリ科は独立した科としては認められず、従来のパンヤ科やシナノキ科とともに、アオイ科に統合されました。これは、旧アオギリ科が多系統であることが判明したためです。旧アオギリ科は、現在ではアオイ科の中で4つの亜科に分けられ、それぞれの系統がより正確に分類されるようになりました。

アオギリ科に属していた属の例

以下に、アオギリ科に属していた代表的な属とその特徴、種をいくつか紹介します。

アオギリ属 (Firmiana)：アオギリが代表種。花弁が退化し、果実が特徴的な形状になる。
カカオノキ属 (Theobroma)：カカオが属する。チョコレートの原料となる。
ブラキキトン属 (Brachychiton)：ゴウシュウアオギリ（カエデバトックリノキ）など、独特の樹形を持つものが含まれる。
キラントデンドロン属 (Chiranthodendron)：キラントデンドロン・ペンタダクティロン（1属1種）は、特異な形状の花を持つ。
コラノキ属 (Cola)：ヒメコラノキ、コラノキなどが属する。かつてコーラ飲料の原料として利用された。
ドンベヤ属 (Dombeya)：ドンベヤ・バージェシアエ、ドンベヤ・ウォリッキーなど、美しい花を咲かせる種が多い。
フレモントデンドロン属 (Fremontodendron)：フレモントデンドロン・カリフォルニクム、フレモントデンドロン・メキシカヌムなど、黄色の花が美しい。
ヤンバルゴマ属 (Helicteres)：ヤンバルゴマ、ネジレゴマなどが属し、特徴的な果実を持つ。
サキシマスオウノキ属 (Heritiera)：サキシマスオウノキが属する。
フウセンアカメガシワ属 (Kleinhovia)：フウセンアカメガシワ（1属1種）は、風船のような果実が特徴的。
マンソニア属 (Mansonia)：ベテ（マンソニア）が属する。木材として利用される。
ノジアオイ属 (Melochia)：ノジアオイが属する、草本の仲間。
ゴジカ属 (Pentapetes)：ゴジカ（1属1種）は、観賞用に栽培される。
プテロキムビウム属 (Pterocymbium)：プテロキムビウム・ティンクトリウムなど、熱帯に分布する。
シマウラジロノキ属 (Pterospermum)：シロギリ、シマウラジロノキなど、葉の形が特徴的。
ピンポンノキ属 (Sterculia)：ピンポンノキなど、種子が食用になる種も含まれる。
オベチェ属 (Triplochiton)：オベチェ（アユース、サンバ、ワワ）が属する。木材として重要。
ヒメコバンノキ属 (Waltheria)：コバンバノキが属する、草本の仲間。

これらの属は、形態や生態において多様な特徴を持ち、アオギリ科がかつて大きな科であったことを示しています。現在ではアオイ科に統合されていますが、それぞれの植物が持つ独自の特性は、植物分類学上非常に興味深い研究対象となっています。

まとめ

アオギリ科は、かつて多様な植物を含んでいた分類群でしたが、APG植物分類体系の導入により、アオイ科に統合されました。この変遷は、植物分類学が常に新しい知見に基づいて進化していることを示す好例です。アオギリ科に属していた植物たちは、現在もそれぞれの場所で繁栄しており、その多様性は私たちの自然への理解を深める上で重要な役割を担っています。

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