カラフル (小説)

森絵都の小説『カラフル』

『カラフル』は、森絵都によるYA小説の代表作であり、理論社から1998年に出版されました。第46回産経児童出版文化賞を受賞し、オーディオブックや英語翻訳版も展開されています。小説を原作とした映画、ラジオドラマ、舞台など、様々なメディアで親しまれています。

あらすじ

一度死んでしまった「ぼく」は、天使のプラプラから「おめでとうございます、抽選にあたりました！」と告げられ、前世の過ちを償うために、誰かの体に乗り移って下界で「ホームステイの修行」をすることになります。「ぼく」の魂が乗り移ったのは、自殺を図った中学3年生の少年、小林真でした。

真として生き返ったことに家族は喜びますが、「ぼく」はプラプラから真の両親の秘密（父親の不祥事、母親の不倫）や、学校での真の評判を聞かされ、修行に気が進みません。しかし、プラプラに脅されながらも真としての生活を続けるうちに、家族に対する反抗的な態度を取ってしまいます。

家出した「ぼく」は不良少年に襲われ、怪我をして自宅療養中に、クラスメイトの佐野唱子が見舞いに来ますが、わざと冷たい態度を取って追い返します。回復後、「ぼく」は学校で初めて心を開ける友人を見つけ、真の父親と釣りに出かけたことで、家族の愛情を知ります。進路選択では、家族の意向に反して親友と同じ学校に行きたいと主張し、家族もそれを受け入れます。

家族との関係が改善する一方で、「ぼく」は家族の愛情が真に向けられたものであることに葛藤します。プラプラに相談した結果、前世の過ちを思い出すことができれば、真の魂を真の体に戻せることを知ります。そして、「ぼく」は自分が殺したのは小林真自身だったと告白し、再挑戦に成功したと告げられます。小林真として再び人生を始めることを不安がる真に、プラプラは「少し長めのホームステイがまた始まると思えばいい」とアドバイスし、「しぶとく生きろ」と励まします。

登場人物

小林真: 主人公である「ぼく」の魂が乗り移った少年。絵が得意で美術部に所属。
佐野唱子: 真のクラスメイト。真の変化に気づき、見舞いに訪れる。
桑原ひろか: 真の後輩で、初恋の相手。
小林満: 真の兄。
真の父親: 食品企業に勤務するサラリーマン。
真の母親: 専業主婦。
プラプラ: 天使で、「ぼく」のサポート役。
早乙女: 真のクラスメイトで友人。
* 沢田: 真の担任教師。

実写映画

2000年には田中聖主演で実写映画化されました。森田芳光が脚本を担当し、中原俊が監督を務めました。また、2018年にはタイ、2022年には日本で再び実写映画化されています。

ラジオドラマ

NHK-FM放送『青春アドベンチャー』でラジオドラマ化され、1999年に全10話が放送されました。

舞台

2006年には市民ミュージカルとして上演され、その後も朗読ミュージカルや朗読劇など、様々な形で舞台化されています。2023年には鈴木福主演でミュージカル化され、全国各地で公演されました。

『カラフル』は、人生の意味や家族の絆、自己肯定感など、普遍的なテーマを扱い、多くの読者や観客に感動を与え続けています。

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