ホームステイ

ホームステイの概念と背景

ホームステイ（英: homestay）とは、留学生がその国の一般家庭に滞在し、その生活を体験するプログラムを指します。この制度では、受け入れる家庭をホスト、またその家族をホストファミリーと呼びます。特に農業体験を希望する場合は、ファームステイ（farmstay）という形式が用いられます。

概要

近年では、多くのホストファミリーが金銭を受け取る形で受け入れを行っていますが、時にはボランティアとして無料で宿泊を提供する場合も存在します。ホームステイはホテルや下宿とは異なるため、ホストファミリーの対応にはばらつきがあり、参加者の希望に沿わないこともあります。これに伴い、条件に合ったホストファミリーを提供する留学エージェントのサービスも広がっています。さらに、長期休暇を利用して学生が手軽に体験できるプログラムも増えてきています。

歴史

「ホームステイ」という概念は、1932年にアメリカのドナルド・ワット博士によって提案された「国際生活体験」が根源とされています。彼は幼少期から、多くの国を訪問する機会に恵まれ、様々な文化に触れていました。第一次世界大戦中、YMCAの使節団メンバーとしてインドやイランでの活動を通じて、人種差別を目の当たりにし、国際理解のあり方を模索しました。

ワットは1921年に亡くなった父から受け継いだ資産を使い、国際的な青少年キャンプに参加し、その中で若者同士の交流の重要性を実感しました。その経験から、外国での家庭生活体験という新たなアプローチにたどり着きます。1930年にはアメリカの少年たちをヨーロッパに送り、異なる文化との交流を促進しました。

1932年には「The Experiment in International Living」として正式にこの活動を開始し、この取り組みをさらに発展させ、アメリカをはじめとしたさまざまな国でホストファミリー制度が確立されました。アメリカでは一般的にボランティア形式が主流であったのに対し、イギリスでは金銭を支払う形が一般化し、これがオーストラリアやカナダなどにも広まりました。最近ではアメリカにおいても有償のホストファミリーが増加しています。

日本におけるホームステイ

日本でのホームステイは1940年に始まりました。当時はこの言葉も概念も存在せず、都新聞に掲載された記事では「交換息子」と表現されていました。このように、国際的な交流が期待されていたものの、翌年に日米関係が悪化し、交流は戦争の影響を受けることになりました。

日本で最初に実施されたホームステイは1955年に、東京大学婦人会と日米教育委員会の協力によって金沢で行われました。戦後の日本において、ホストファミリーと留学生との交流は文化理解を深める重要な機会となっています。

基本的なルール

ホームステイの実施にあたっては、ホストファミリーの形式（ボランティアか有償か）や参加者の年齢によって様々なルールがあります。一般的に、一緒に生活する中で家庭のルールに従い、自身も家族の一員として活動することが求められます。

参加者はホストファミリーの生活に積極的に関与し、コミュニケーションを大切にします。食事を外で取らないときや帰宅が遅れる際には、事前にホストファミリーに連絡をしておくことが求められます。また、ホストファミリーとの外出時の費用や交通費は自己負担が原則です。

それに加え、文化の違いから生じるトラブルには十分注意が必要です。特に、ホストファミリーの不当な要求は断る勇気を持つことが重要で、精神的な安全を確保しつつ交流を楽しむことが大切です。

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