カリタス女子中学校・高等学校

神奈川県川崎市多摩区に位置するカリタス女子中学校・高等学校は、キリスト教カトリックの精神に基づいた私立の中高一貫女子校です。1961年に学校法人カリタス学園によって設立され、そのルーツはカナダのケベック・カリタス修道女会にあります。校名である「カリタス（caritas）」はラテン語で「神の愛」「慈しみ」「愛徳」を意味し、この言葉が学校の建学の精神を表しています。カリタス幼稚園、カリタス小学校は系列校にあたり、小学校からは毎年多くの児童が内部進学しています。

教育理念と「4つの心」

本校は、カトリック的世界観を基盤とし、設立母体であるケベック・カリタス修道女会の基本方針に沿って、「教養ある徳の高い女子」の育成を目指しています。教育目標は「普遍的な愛をもって人に尽くす」こと。生徒一人ひとりが、神に生かされている喜びを感じながら、自己のためだけでなく他者のために行動できる人間に成長することを理想としています。

この教育理念を実践するための指針として「4つの心」を掲げています。
祈る心: 神に心を開き信頼する人間を育む
学ぶ心: 一人ひとりの可能性を最大限に伸ばす
交わる心: 普遍的愛の心を育む
奉仕する心: 福音的な社会を目指して奉仕する人間を育てる

これらの指針に基づき、知性だけでなく、豊かな感性や倫理観を兼ね備えた女性の育成を目指した教育が行われています。

沿革

ケベック・カリタス修道女会は1849年に設立され、1953年には3人のシスターが来日しました。その後、1961年に現在の地である川崎市多摩区中野島に、修道院と併設する形でカリタス女子中学高等学校が開設されました。1966年には高等学校専攻科を改組し、カリタス女子短期大学（2017年閉学）が開設されるなど、学園の規模を拡大してきました。2006年には新校舎が完成し、本格的な運用を開始しています。

特色ある教育活動

本校の教育は、いくつかの特色を持っています。校舎は2006年に竣工した新校舎で、教科センター方式を採用し、教科ごとに専門的な学習環境が整備されています。この校舎は神奈川県建築コンクールで優秀賞を受賞しています。

外国語教育

学園のルーツであるカナダ・ケベック州の影響を受け、外国語教育に特に力を入れています。中学校では英語を第一外国語、フランス語を第二外国語として全員が学びます。高校からは英語またはフランス語のいずれかを第一外国語として選択し、それぞれの言語で深い学びを追求します。ネイティブの教員による質の高い授業も行われています。

理科教育

学校の近隣に広がる多摩川や多摩丘陵の自然環境を活かした独自の理科教育プログラム「タマロジー（Tamalogy）」を展開しています。フィールドワークを通して、地質調査や水生生物の観察などを行い、身近な自然への理解を深めます。

進学指導

高校2年生からは、将来の目標に合わせた3つのコース（私立文系、国立文系、理数）に分かれ、それぞれの進路に最適化されたカリキュラムで学習を進めます。授業は基本的に週5日制で、1コマ45分、1日7限授業が行われています。

校則として、授業開始・終了時や終礼の挨拶には「ごきげんよう」を用い、丁寧なお辞儀を励行しています。また、学年は中学1年を1年、高校3年を6年と、独自の呼称で呼ばれています。

学校生活と年間行事

制服

本校の制服は「カリタスブルー」と呼ばれる紺色を基調としています。冬服はジャンパースカートにブラウス、夏服はセーラー型のブラウスとスカートの組み合わせです。ブラウスに付けるリボンは中学生が赤、高校生が紺色で、学年ごとに靴紐の色が異なります。カーディガンなども指定されており、2020年度には制服デザインが改訂されました。

行事

年間を通じて様々な行事が行われ、特に宿泊を伴う行事が特徴です。中学1年次にはオリエンテーションキャンプ、中学3年次には長崎への研修旅行が実施されます。学園祭である文化祭は例年「マルグリット祭（マ祭）」として多くの来場者で賑わいます。

外国語教育が盛んな本校は、フランス語教育に熱心な他校と連携し、フランス語劇やスピーチの発表会「フランス語フェスティバル」に参加しています。また、全学年を対象とした外国語発表会や、中学合唱コンクールも毎年開催されています。

課外活動・部活動

現在、22の部活動が活動しています。部活動への昇格には独自の厳しい規定があり、まず愛好会として一定期間活動し、関係機関の承認を得る必要があります。

文化部には、演劇部（関東大会優勝、全国大会出場経験あり）、オーケストラ部、コーラス部（NHK全国学校音楽コンクール等で実績多数）、競技かるた部などがあり、運動部には、水泳部、ソフトボール部、バスケットボール部、バレーボール部などがあります。

アクセスと関連事項

最寄りの交通機関はJR南武線の中野島駅（徒歩約10分）または登戸駅です。登戸駅からは路線バスの利用も可能です。

系列校としてカリタス幼稚園、カリタス小学校があります。また、本校はアニメ映画『きみの声をとどけたい』においてモデル校として、映画『きみの色』では取材協力およびコーラス部の歌唱音源提供という形で制作に関わっています。

著名な出身者には、作家の乃南アサ氏、窪美澄氏、女優の紺野美沙子氏、堀田茜氏、中山エミリ氏、アナウンサーの下平さやか氏、内田嶺衣奈氏らがいます。

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