カリラ蒸留所

カリラ蒸溜所 (Caol Ila Distillery)

カリラ蒸溜所は、スコットランドのアイラ島、ポート・アスケイグに位置するスコッチ・ウイスキーの蒸留所です。アイラ島の蒸留所の中でも最大の生産能力を誇り、その原酒の多くは、ジョニー・ウォーカーをはじめとする有名なブレンデッドウイスキーに使用されています。

「カリラ」(Caol Ila)という名前は、ゲール語で「アイラ海峡」を意味し、アイラ島とジュラ島を隔てる海峡の名前に由来しています。

歴史

カリラ蒸溜所は、1846年にヘクター・ヘンダーソンによって設立されました。しかし、財政難のため、1852年にはノーマン・ブキャナンに売却され、その後1863年にはバロッホ・レード社に買収されました。

1920年にバロッホ・レード社が倒産すると、ロバートソン&バクスター社が設立したカリラディスティラリー社に買収されました。その後、1927年にはDCL社が単独の所有者となります。

DCL社による買収後、1930年から1937年にかけて操業を停止し、さらに1941年から1945年にかけては第二次世界大戦の影響で再び操業を停止しました。

1972年には、熟成庫を除くすべての建物の建て替え工事に伴い、再び操業が停止されましたが、1974年に工事が完了し、操業を再開しました。この建て替えによって、2基だった蒸留器が現在の6基に増設されました。総工費はおよそ100万ポンドでした。カリラ蒸溜所の特徴である全面ガラス張りのスチルハウスは、この工事で建てられたものです。

1986年には、ギネスがDCL社を買収したことで、ギネス傘下のユナイテッド・ディスティラーズ社の所有となり、1997年にはギネスとグランドメトロポリタン社の合併で誕生したディアジオ社の傘下となりました。

2011年には、5ヶ月間生産を停止し、マッシュタンの更新とウォッシュバックの増設が行われ、年間生産能力が650万リットルとなりました。総工費はおよそ350万ポンドでした。

製造

カリラ蒸溜所で使用される麦芽は、ポートエレン蒸溜所製のフェノール値34~38ppmのものが使用されています。

仕込み水は、蒸留所からおよそ1.5kmの距離にあるナムバン湖から引かれており、石灰岩から湧き出たピーティでミネラル分を多く含む水が使用されています。

ポットスチルはすべてストレートヘッド型で、初留器と再留器がそれぞれ3基ずつ、合計6基あります。

製造された原酒は、アイラ島ではなくスコットランド本土で熟成されています。

長い間、生産された原酒の95%以上がブレンデッドウイスキー用の原酒として用いられ、シングルモルトとしてのリリースは少ない状況が続いていましたが、カリラ人気の高まりを受けて、現在は15%がシングルモルトに用いられています。

評価

ラガヴーリン蒸溜所と同じくポートエレン製のフェノール値34~38ppmの麦芽を使用していますが、ラガヴーリンとは対照的に軽やかな味わいで知られています。

ウイスキー評論家のマイケル・ジャクソンは、カリラのハウススタイルを「オイリー、オリーブ、ジュニパー(ネズ)、フルーティ、エステリー。素晴らしい食前酒」と評しています。また、土屋守は「アイラの典型かつ優等生」と評しています。

マイケル・ジャクソンは、2002年から販売されているオフィシャルボトルを次のようにテイスティングしています。

使用されている主なブレンデッドウイスキー

ジョニー・ウォーカー
ブラックボトル
* ビッグピート(ブレンデッドモルト)

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