カルスターダ

カタルーニャの春の味覚、カルスターダ

スペイン、カタルーニャ州タラゴナ県で冬から春にかけて味わえる郷土料理、カルスターダ（Calçotada）。これは、特別なネギであるカルソッツを、独特の方法で調理していただく料理であり、同時にその調理と食事を楽しむイベントを指します。

カルソッツは、タラゴナ県で栽培される太くて長いネギの一種。このカルソッツを、ブドウの剪定枝などの上でじっくりと焼き上げます。黒焦げになるまで焼いた後、新聞紙で包んで蒸らし、焦げた外皮を取り除きます。この工程で、手や服が汚れることも珍しくありません。

外皮を取り除いた、柔らかく甘みが増したカルソッツの内側を、サルビチャーダと呼ばれる独特のソース、またはそれに似たルメスクソースにたっぷりつけていただきます。サルビチャーダは、トマトベースの濃厚なソースで、ローストしたナッツやパンなどの風味を加えたものもあります。

この独特の調理法と、ソースにつけて食べるスタイルから、カルスターダは野外でのバーベキューのような形式で楽しまれることが多いです。レストランでは、食事の際に汚れても大丈夫なように、お手拭きや手袋、エプロンが用意されることもあります。

カルスターダでは、焼いたカルソッツが前菜として供されます。メイン料理には、カタルーニャ地方の伝統的なソーセージであるブティファラ（松の実入りのソーセージ）が一般的で、赤ワインと共に味わわれます。

新鮮なカルソッツが収穫できる3月頃までしか味わえない、まさに春の味覚と言えるでしょう。

カルスターダ発祥の地であるタラゴナ県では、伝統的な料理として広く親しまれていますが、近年ではバルセロナやバレンシア州のシャティバなどにも広がりを見せています。特にバルセロナでは、冬の風物詩として定着しつつあります。

カルスターダは、単なる料理というだけでなく、人々が集い、春の訪れを祝う、カタルーニャの食文化を象徴するイベントでもあります。家族や友人と集まり、美味しい料理とワインを楽しみながら、春の喜びを分かち合う、そんな温かいひとときを過ごすことができるでしょう。

この独特のネギ、特別な調理法、そして賑やかな雰囲気。カルスターダは、カタルーニャ地方を訪れた際にはぜひ体験していただきたい、忘れられない食の思い出となるでしょう。

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