カルタヘナ (ゲーム)

カルタヘナ (CARTAGENA)

「カルタヘナ」は、2000年にイタリアのベニスコネクション社から発表された、歴史的な脱獄劇をテーマにしたボードゲームです。作者はレオ・コロヴィーニ氏。カリブ海に面した要塞都市カルタヘナで1672年に実際に起こったとされる海賊たちの脱獄事件から着想を得ており、プレイヤーはその一員として、自由への道を切り拓くことになります。

このゲームは発売後、高い評価を獲得しました。2001年にはドイツ年間ゲーム大賞にノミネートされ、ドイツゲーム大賞では6位にランクイン。同年にはオーストリアゲーム大賞の「家族で遊ぶゲーム」部門で受賞を果たしました。さらに、2002年にはオランダゲーム賞も受賞しており、国際的に認められた作品と言えます。

ゲームの概要

ゲームの舞台は、海賊たちが囚われている牢獄から脱出船へ続く一本道のトンネルです。プレイヤーの目的はシンプルでありながら奥深いもの。各自が担当する6体の海賊コマ全てを、誰よりも早くこの迷路を抜けてゴール地点にある脱出船まで到達させることです。最初に自軍の海賊コマ全てをゴールさせたプレイヤーが勝者となります。

特徴的なのは、コマの移動手段にサイコロを使用しない点です。代わりに、プレイヤーは手札にあるカードを消費してコマを進めます。ゲームボード上には様々なシンボル（例えばドクロやナイフなど）が描かれたマスが配置されており、これが双六における「マス」の役割を果たします。手札から特定のシンボルが描かれたカードを使用すると、そのシンボルが描かれた自分のコマより先にある最も近い「空いている」マスまでコマを進めることができます。

移動以外のもう一つの重要なアクションとして、「カード補充」があります。自分のコマを、一つ前のマスに戻すことを選択できます。この戻ったマスに他のプレイヤーのコマがいた場合、そのコマの数（1つまたは2つ）に応じて手札を補充することができるのです。どの海賊コマを動かすかはプレイヤーの自由であり、状況に応じて最適なコマを選択する必要があります。ただし、一つのマスには最大で3個のコマしか入れません。

各プレイヤーは、自分の手番中に1回から最大3回のアクションを実行できます。このアクションは、前述の「カードを使ってコマを進めること」と「コマを戻して手札を補充すること」を自由に組み合わせることができます。この限られたアクションの中で、いかに効率よく自軍のコマを前進させ、同時に手札を管理するかが戦略の鍵となります。

ゲームの戦略性と特徴

「カルタヘナ」の魅力は、そのルールのシンプルさと、戦略的な選択肢の豊富さのバランスにあります。実行できるアクションは移動か補充の2種類と覚えることは少ないですが、手番中に最大3回のアクションを行える点がこのゲームに深みを与えています。これにより、同じ状況でも様々な行動の組み合わせが可能となり、幅広い戦略を立てることができます。

特に悩ましいのは、手札のカード1枚の効果が、盤面の状況によって大きく変わる点です。先のマスが詰まっている場合は少ししか進めないこともあれば、一気に数マス進めることもあります。また、カード補充のためにコマを戻すという行動も重要です。少し戻るだけで多くのカードが得られることもあれば、大きく後退してもわずかしか補充できないこともあります。いかにして自分の海賊を効率的に進めつつ、他のプレイヤーの進行を妨害し、自身に有利な状況を作り出すか、常に頭を悩ませることになります。

ゲームボードは複数のモジュール（6枚のピース）から構成されており、これらの組み合わせ方や両面の利用により、プレイするたびに異なるコースが生まれるため、繰り返し遊んでも飽きが来にくい構造になっています。

さらに、より高度なプレイを楽しみたいプレイヤーのために、上級ルールが用意されています。このルールでは、通常隠されている手札や山札の内容を公開してプレイします。これにより偶然の要素が減少し、より先の先まで読む必要が出てくるため、高度な戦略と駆け引きが展開される、さらにハードなゲーム体験となります。

コンピューターゲーム化

「カルタヘナ」は、家庭用ゲーム機向けにも移植されています。2003年にディースリー・パブリッシャーから発売されたPlayStation 2用ソフト「ヨーロピアンゲームコレクション」の中に収録されており、1人から4人までプレイすることが可能です。

シンプルながら奥深い戦略性を持ち、リプレイ性の高い「カルタヘナ」は、ボードゲーム愛好家だけでなく、ご家族でも楽しめる作品として、今なお多くのプレイヤーに親しまれています。

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