カルピFC

カルピFC 1909

イタリア北部のエミリア＝ロマーニャ州、モデナ県に位置する街カルピを活動拠点とするプロサッカークラブです。正式名称はカルピ・フットボール・クラブ1909（Carpi Football Club 1909 S.r.l.）。2019-20シーズン時点では、イタリアサッカーリーグシステムの3部に相当するセリエCに所属しています。

歴史

クラブは1909年に「ユクンディタス・カルピ（Jucunditas Carpi）」の名で設立されました。その後、数年を経て「ACカルピ（Associazione Calcio Carpi）」と名称を変更しています。

創設初期、特に1920年代には全国レベルの2部リーグに相当するカテゴリーでプレーした経験がありますが、長いクラブの歴史において、セリエAやセリエBといった主要な全国リーグに継続的に所属する時期は訪れませんでした。下部リーグでの戦いが続くなか、1996-97シーズンにはルイジ・デ・カーニオ監督の指揮の下、セリエC1でセリエB昇格プレーオフ決勝まで進出しましたが、惜しくも敗退し、昇格の機会を逃しました。

大きな転機が訪れたのは2000年です。クラブは財政的な問題から経営破綻に見舞われ、活動を一時停止せざるを得なくなりました。しかし、「カルピ・カルチョ（Carpi Calcio）」として、イタリアサッカーの地域リーグ、6部相当のエッチェッレンツァから再出発を図ります。この再建への道のりを経て、2002年にはセリエDへの昇格を果たし、現在の「カルピ・フットボール・クラブ1909」というクラブ名となりました。

セリエDからの再起後、クラブは着実に力をつけ、昇格を重ねていきます。そして2012-13シーズン、当時の3部リーグであるレガ・プロ・プリマ・ディヴィジオーネ・ジローネAで3位となり、プレーオフを勝ち抜いてクラブ史上初のセリエB昇格を成し遂げました。この快進撃は止まらず、セリエB初挑戦からわずか2シーズン後の2014-15シーズンには、圧倒的な強さでリーグを制覇。2位チームに9ポイント差をつけて優勝し、クラブ史上初となるセリエAへの昇格という歴史的快挙を達成しました。

しかし、セリエA昇格は新たな課題をもたらしました。クラブの本拠地スタディオ・サンドロ・カバッシは、収容人数が約4,000人であり、セリエA開催に必要な最低収容人数である1万人を満たしていませんでした。このため、セリエAでのホームゲームは、やむを得ず同じモデナ県内にあるスタディオ・アルベルト・ブラーリアで暫定的に開催されることとなりました。

初のセリエA挑戦となった2015-16シーズンは苦戦を強いられ、18位でシーズンを終え、1年でセリエBへの降格を余儀なくされました。その後、数シーズンをセリエBで戦いましたが、2018-19シーズンには19位となり、再びセリエCへの降格を喫しています。

獲得タイトル

クラブはイタリア国内リーグにおいて、以下のタイトルを獲得しています。

セリエB：1回（2014-15）
セコンダ・ディヴィジオーネ：1回（1922-23）
セリエC：1回（1945-46）
レガ・プロ・セコンダ・ディヴィジオーネ：1回（2010-11）
セリエD：3回（1963-64, 1973-74, 1977-78）
プロモツィオーネ：1回（1914-15）
プリマ・ディヴィジオーネ：1回（1949-50）
プリマ・カテゴーリア：2回（1960-61, 1961-62）

国際タイトル獲得の経験はありません。

近年の成績推移（主要リーグ所属シーズン）

経営破綻後の再建期からセリエA昇格、そしてその後の降格に至る主要リーグの成績は以下の通りです。

2010-11: レガ・プロ・セコンダ・ディヴィジオーネ ジローネB 1位（レガ・プロ・プリマ・ディヴィジオーネ昇格）
2011-12: レガ・プロ・プリマ・ディヴィジオーネ ジローネA 3位
2012-13: レガ・プロ・プリマ・ディヴィジオーネ ジローネA 3位（セリエB昇格）
2013-14: セリエB 12位
2014-15: セリエB 1位（セリエA昇格）
2015-16: セリエA 18位（セリエB降格）
2016-17: セリエB 7位
2017-18: セリエB 11位
2018-19: セリエB 19位（セリエC降格）

クラブゆかりの人物

クラブには、後に著名なキャリアを築いた選手や監督が在籍していました。

歴代監督

ジャンニ・デ・ビアージ
ルイジ・デ・カーニオ
ジュゼッペ・ピッロン
ファブリツィオ・カストーリ（複数期にわたり指揮）
ジュゼッペ・サンニーノ
アントニオ・カラブロ
ジャンカルロ・リオルフォ

歴代所属選手（一部）

マルコ・スポルティエッロ（GK）
ガブリエウ（GK）
ヴィド・ベレツ（GK）
マルコ・マテラッツィ（DF）
リッカルド・ガリョーロ（DF）
クリスティアン・ザッカルド（DF）
サルバトーレ・バーニ（MF）
ラッファエレ・ビアンコ（MF）
シモーネ・インザーギ（FW）
ロベルト・イングレーゼ（FW）

経営破綻からの復活劇を経て、歴史的なセリエA昇格を果たすなど、小規模クラブながらもイタリアサッカー史にその名を刻む波乱万丈な道のりを歩んできたクラブです。

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