カルロス・アンドレス・ペレス

カルロス・アンドレス・ペレス：ベネズエラの激動の時代を生きた政治家

カルロス・アンドレス・ペレス（1922年10月27日 - 2010年12月25日）は、ベネズエラの政治において重要な役割を果たした人物です。彼は二度、ベネズエラの大統領を務め（1974年 - 1979年、1989年 - 1993年）、その政治手腕は国内外から注目を集めました。しかし、彼の政治キャリアは、オイルショック、緊縮政策、暴動、クーデター未遂、そして最終的には公金横領による罷免という、数々の困難と混乱に彩られたものでもありました。

初めての大統領就任と石油政策

ペレスは1973年に民主行動党から大統領に就任しました。当時、世界はオイルショックに見舞われており、ベネズエラもその影響を大きく受けていました。ペレスは、石油資源を国家の管理下に置くため、石油国有化法を制定し、ベネズエラ国営石油会社（PDVSA）を設立しました。これにより、ベネズエラは石油収入を大幅に増加させましたが、その一方で、石油に過度に依存する経済構造が固定化されるという問題も生じました。

二度目の大統領就任とカラカス暴動

1979年に大統領の座を退いた後、ペレスは1989年に再び大統領に就任しました。しかし、二度目の就任直後、彼は「大転換」と呼ばれる緊縮政策を導入しました。この政策は、公共料金の大幅な値上げを含むものであり、国民の不満を爆発させました。1989年2月27日、首都カラカスで大規模な暴動が発生し、ペレスは軍を投入して鎮圧を図りました。この暴動では200人以上の死者が出たとされ、ペレスのリーダーシップに対する批判が高まりました。

クーデター未遂と罷免

ペレスの政権は、その後も不安定な状況が続きました。1992年2月には、当時の陸軍中佐であったウゴ・チャベスがクーデターを試みましたが、これは失敗に終わりました。しかし、同年11月にも空軍と海軍の一部士官によるクーデターが起こるなど、政情不安は深刻化していきました。そして1993年3月、ペレスは公金横領の容疑により議会から罷免され、大統領の座を退くこととなりました。

その後

2010年12月25日、カルロス・アンドレス・ペレスはフロリダ州マイアミで88歳で亡くなりました。晩年はパーキンソン病を患っていたと伝えられています。

カルロス・アンドレス・ペレスは、ベネズエラの政治史において、賛否両論のある人物として記憶されています。石油国有化による経済的繁栄をもたらした一方で、緊縮政策による国民の反発、暴動、クーデター未遂、そして公金横領による罷免など、その政治キャリアは波乱に満ちたものでした。彼の功績と過ちは、今日のベネズエラ社会に大きな影響を与え続けています。

参考

* Suzutayu's「ベネズエラの政治」(http://members3.jcom.home.ne.jp/suzutayu/venezuela.htm)

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