カル・ハバード

ロバート・カルビン・ハバード：二つの殿堂に輝く男

ロバート・カルビン・ハバード（Robert Calvin Hubbard, 1900年10月31日 - 1977年10月17日）は、アメリカのスポーツ史において特異な足跡を残した人物です。彼は、アメリカンフットボール選手として、そしてメジャーリーグの審判員として、それぞれの分野で頂点を極め、両方の殿堂入りを果たした唯一の存在として知られています。

フットボール選手としての輝かしいキャリア

ハバードは、ルイジアナセンテナリー大学でフットボール選手としてのキャリアをスタートさせました。6フィート4インチ、250ポンドという恵まれた体格を生かし、ラインバッカーとして活躍。その機敏な動きは、当時から注目を集めていました。その後、名コーチ、ボー・マクミリンを追ってジェネバ・カレッジへ転学。1962年には、大学フットボールの殿堂入りを果たしています。

1927年にはNFLのニューヨーク・ジャイアンツに入団。2年間の在籍後、1929年からはグリーンベイ・パッカーズに移籍し、黄金時代を築きます。パッカーズは1929年から1931年までNFLチャンピオンを3連覇。ハバードはその中心選手としてチームを牽引しました。1933年に一度引退するも、1935年に復帰。1936年まで選手として活躍しました。

メジャーリーグ審判としての貢献

ハバードは、フットボール選手として活躍する傍ら、シーズンオフにはマイナーリーグで審判を務めていました。1936年にメジャーリーグに昇格すると、1951年までアメリカンリーグの審判員として活動します。彼の審判としての最大の功績は、フットボールで培った経験を活かし、試合の状況に応じた審判員のポジショニングを体系化したことです。

当時、審判のポジショニングは個々の経験に委ねられることが多く、判定の責任範囲も曖昧でした。ハバードは、各審判員の役割を明確化し、常に最適な位置からプレーを監視できるシステムを構築。このシステムは、1952年にメジャーリーグが審判員4人体制を導入した際に採用され、現代の審判員のポジショニングの基礎となっています。

その後

1951年、ハバードは猟銃事故で右目を負傷し、審判職を引退。しかし、その後も1954年から1969年までリーグ審判員の統括責任者として、メジャーリーグに貢献し続けました。1976年には、長年の功績が認められ、アメリカ野球殿堂入りを果たします。

翌1977年、ハバードは癌のためフロリダ州セントピータースバーグで生涯を閉じました。しかし、彼がアメリカンフットボールとメジャーリーグに残した功績は、今もなお色褪せることなく、人々の記憶に刻まれています。

記録と栄誉

NFLオールディケード・チーム（1920年代）選出
カレッジフットボール殿堂入り（1962年）
プロフットボール殿堂入り（1963年）
アメリカ野球殿堂入り（1976年）

ロバート・カルビン・ハバードは、まさに「二刀流」を体現した、アメリカンスポーツ界の伝説的な存在なのです。

もう一度検索