カロネード砲

カロネード砲について

カロネード砲は、イギリス陸軍のロバート・メルビル中将の指導のもとにスコットランドのカロン社で設計された前装式滑腔砲で、1776年に開発が始まり、1779年にはイギリス海軍に正式に採用されました。この砲は1860年代頃まで実戦で使用され、特に接近戦に強力な火力を発揮するために開発されました。

特徴

カロネード砲の最も顕著な特徴は、その短くて薄い砲身です。他の同口径の砲と比較すると、例えば32ポンド砲においてカロネード砲は重量が0.8トン、砲身長が約3メートルと、従来の半カノン砲に対しても軽量で使いやすい設計となっています。発射時の反動を吸収するために、砲はスライド式の固定砲架に搭載されているため、少数の砲員での運用が可能で、戦列艦の補助火砲として使用されることが多くありました。このような特徴により、一般的には装備されない大口径砲を小型艦船にも搭載することができました。

また、カロネード砲は口径が大きく、設計段階から重火力を意図していたことが分かります。最も大型のものである68ポンド砲は、その威力から「粉砕者」と呼ばれるほどの強さを誇っていました。この設計により、射撃精度は短砲身にも関わらず優れており、従来の長砲身の砲と同等の性能を持つことが可能でした。

ただ、カロネード砲は射程においては劣っていました。68ポンド砲の有効射程が約1600メートルであるのに対し、カロネード砲は約360メートルと、接近戦専門であることが明確でした。このため、カロネード砲は長い間、艦船の基準装備に数えられることはありませんでしたが、1817年にようやく正式に認められるようになりました。帆船時代の海戦は通常、百数十メートル以内の近接戦となるため、射程の短さが致命的な問題にならなかった点が幸いしました。

歴史

カロネード砲はその初期から圧倒的な火力で海軍に迎えられ、イギリス海軍に広く配備されました。この強力な砲は間もなく世界各国の海軍に導入され、アメリカ独立戦争ではアメリカ海軍でも採用されることとなりました。特にナポレオン戦争がピークであり、多くの戦列艦に装備されていました。

しかし、19世紀中頃には後装式施条砲の登場により、射程や命中精度が強化された新たな砲火力が登場しました。これにより、カロネード砲は短命に終わる運命を辿ります。技術の進歩により、わずか一世紀足らずで過去のものとなり、カロネード砲は歴史の一要素として評価されることになりました。

参考文献

• - 田中航『戦艦の世紀』毎日新聞社、1979年。

このように、カロネード砲はその特異なデザインと火力で、18世紀から19世紀にかけての海戦において重要な役割を果たした砲であり、戦術の変遷とともにその位置付けが変わっていきました。

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