カロル2世 (ルーマニア王)

カロル2世：愛と権力に翻弄されたルーマニア国王

カロル2世（1893年 - 1953年）は、ルーマニア国王としてその治世（1930年 - 1940年）を彩りました。しかし、彼の人生は政治的な決断だけでなく、数々の恋愛沙汰によっても特徴づけられています。

生涯

カロルは、ルーマニア国王フェルディナンド1世とマリア王妃の間に生まれました。彼はルーマニア王家として初めてルーマニア正教会の洗礼を受けた人物です。1914年に上院議員となりますが、その異性関係は早くから注目を集めました。1918年には平民女性との結婚が王室法に反するとされ、後に無効となります。その後、ギリシャ王女エレーニと結婚しますが、マグダ・ルペスクとの関係が問題となり、離婚に至りました。これらのスキャンダルが、カロルを好色な君主としてのイメージを決定づけました。

即位と治世

1930年、カロルは突然帰国し、国王に即位します。彼は、農民党や自由党といった対立勢力を巧みに操り、1938年には自身の内閣を組閣し、王位への権力を確立しました。しかし、鉄衛団を活動禁止にし、その指導者を暗殺するなど、強権的な政治手法も目立ちました。また、準軍事組織を設立し、個人崇拝を推し進めました。1940年には、ソ連からの最後通牒を受け入れ、領土の一部割譲を決定しました。

亡命とその後

第二次世界大戦の激化とともに、ルーマニアは外国からの圧力を受け、カロルはイオン・アントネスク将軍によって退位させられます。その後、彼はポルトガルへ亡命し、王家の財宝を浪費して暮らしました。1947年にはマグダ・ルペスクと結婚しますが、息子であるミハイ1世との再会は叶いませんでした。1953年にエストリルで死去し、2003年にルーマニアへ改葬されました。

妻子とその後

カロル2世は、数多くの女性との間に子供をもうけました。正妻であるエレナ王妃との間にはミハイ1世が、愛人との間にも子供がいます。庶出の孫であるパウル・ランブリノは、ルーマニア王室の家長の座を巡り、ミハイ1世の系統と争いました。2012年には、カロル・ランブリノがカロル2世の嫡出子であるとの判決が下され、遺産相続権を得ることとなりました。

カロル2世の生涯は、ルーマニア王室に複雑な遺産を残しました。彼の数々の女性関係は、王室の正統性に疑問を投げかけ、現在もなお、その影響は続いています。

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