カワイコ金魚ちゃん

カワイコ金魚ちゃん：トムとジェリーの壮絶な攻防

チャック・ジョーンズ監督による1966年制作のトムとジェリー作品『カワイコ金魚ちゃん』(原題:Filet Meow)は、トムとジェリー、そして予想外のサメの絡み合いによって繰り広げられる、痛快でユーモラスな物語です。

物語は、トムが金魚鉢の中で優雅に泳ぐメスの金魚に目をつけるところから始まります。トムは金魚を捕まえ、食べようとするのですが、そこにジェリーが登場。ジェリーは、トムから金魚を守るため、知略と勇気をもって立ち向かいます。

最初は手斧とゴミバケツという、いかにもトムらしい原始的な武器で挑むものの、ジェリーの機転の利いた妨害によって失敗に終わります。諦めきれないトムは、さらに巧妙な罠を仕掛けようと画策します。金魚鉢とテーブルに細工をし、ホースを使って金魚を吸い上げようというのです。まさに、トムの悪知恵が爆発した瞬間と言えるでしょう。

しかし、ジェリーはトムの姑息な作戦を見抜いていました。ジェリーは、トムのホースを巧みに利用し、逆転の発想で反撃に出ます。なんと、ホースを浴槽につなぎ替え、ペットショップから巨大なサメを呼び寄せたのです。

地下室で排水作業に勤しむトムは、ついに「魚」を吸い上げたと思った瞬間、襲いかかってきたのは巨大なサメでした。サメはトムの毛皮を剥ぎ取り、トムは裸で逃げ出すという、予想外の展開に。

一方、邪魔者が消えたジェリーは、金魚と仲良くしようとしますが、サメが金魚鉢に侵入。金魚はサメにさらわれてしまい、ジェリーもサメを追いかけて泳ぎ去るという、まさかの結末を迎えます。

この作品の見どころは、なんといってもトムとジェリーの知恵比べです。トムの悪巧みと、それを上回るジェリーの機転の利いた行動の数々は、見ている者を飽きさせません。さらに、予想外のサメの登場や、ラストシーンの意外な展開は、作品に大きなインパクトを与えています。

スタッフについても注目に値します。製作はチャック・ジョーンズ、脚本はボブ・オーグル、作画はケン・ハリス、ベン・ワーシャム、ドン・トウスリー、ディック・トンプソン、トム・レイといった、当時のアニメーション界を代表する豪華な顔ぶれが名を連ねています。レイアウトはロバート・ギブンス、ドン・モーガン、背景はフィリップ・デ・ガード、デザインコンサルタントはモーリス・ノブル、プロダクションスーパーバイザーはレス・ゴールドマン、プロダクションマネージャーはアール・ジョーンズ、音楽はディーン・エリオット、そして監督はエイヴ・レヴァイトーです。これらのスタッフの卓越した技術と才能が、この作品を傑作たらしめていると言えるでしょう。

『カワイコ金魚ちゃん』は、トムとジェリーの定番のドタバタ劇に、サメという異質な要素を加えることで、独特の世界観を作り出しています。予測不能な展開と、ユーモラスな描写、そして個性豊かなキャラクターたちが織りなす物語は、大人から子供まで楽しめる、まさに名作と言えるでしょう。一度ご覧になることをお勧めします。

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