カワサキ・エリミネーター

カワサキ・エリミネーターシリーズ：ドラッグレーサーから生まれた個性派クルーザーの系譜

カワサキ・エリミネーターは、カワサキモータースが製造・販売するオートバイシリーズです。「排除する者」を意味する車名のとおり、従来のクルーザーとは一線を画す、独自のスタイルと走りを追求したモデルとして知られています。本稿では、エリミネーターシリーズの歴史、モデルバリエーション、そして2023年に発表された新型モデルについて、詳細に解説します。

エリミネーターの誕生と初期モデル

他社がハーレーダビッドソン風のクルーザーを展開する中、カワサキはドラッグレーサーをデザインコンセプトに、1985年にエリミネーターシリーズの開発に着手しました。

まず登場したのは、GPZ900Rのエンジンを搭載した輸出モデルの900ccと、当時の日本の自主規制（750cc）に対応した国内モデルの750ccです。GPZ900R譲りのエンジンは、シャフトドライブに変更され、低中速トルク重視にセッティングされたことにより、発進加速性能はGPZ900Rを凌駕するほどでした。1987年には、シリーズ最上位機種として1000ccモデルのZL1000が追加されました。

多様な排気量モデルと進化

エリミネーターシリーズは、その後も様々な排気量モデルを展開しました。1986年には400ccモデルが登場し、上位モデルのデザインを踏襲しつつ、GPZ400Rのエンジンを搭載。ミドルクラスながら、個性的なデザインと走りを両立しました。この400ccモデルは、後にSE（ドラッグ仕様）とLX（メッキパーツを採用したモデル）の2タイプにモデルチェンジ。1993年には、スポークホイール仕様の単一グレードへと統合されました。400ccをベースに、輸出向けの500cc、600ccモデルも存在しました。

さらに、1987年には250ccモデルが登場しました。このモデルは、GPX250Rのエンジンを搭載し、250ccクラスの馬力規制上限に迫るパワーを誇りました。こちらも400ccモデルと同様に、SE（キャストホイール、ビキニカウル装備）とLX（スポークホイール装備）にモデルチェンジされました。

1997年には、V型2気筒エンジンを搭載したエリミネーター250Vが発売されました。このモデルは、従来のドラッグレーサーコンセプトから、クルーザースタイルへとデザインが転換したことが大きな特徴です。しかし、走行性能は加速重視のセッティングを踏襲。2007年まで生産が続けられました。

同年には、タイ生産の125ccモデルも日本市場に投入されました。このモデルは、250Vと同様のデザインでしたが、単気筒エンジンを搭載。2008年に生産終了となりました。

2023年：新生エリミネーターの登場

約20年の時を経て、2023年、新生エリミネーターが発表されました。400ccの並列2気筒エンジンを搭載し、ニンジャ400/Z400のエンジンをベースに、低中速トルク重視にチューニングされています。

今回の新型エリミネーターは、「ライダーそれぞれのライフスタイルに寄り添う、より気軽で親しみやすいモデル」として開発されました。標準シートに加え、ローシートとハイシートがアクセサリーとして用意され、ETC車載器も装着可能となっています。

上位モデルのエリミネーターSEは、ビキニカウルやフォークブーツなどを装備。さらに、カワサキブランド初のUSB-C電源ソケットや、前後2カメラドライブレコーダーを標準装備するなど、先進性も高められています。

また、2024年3月には、スタンダードモデルとSEの中間モデルとして「エリミネーター プラザエディション」が登場しました。専用カラーとドライブレコーダーが装備され、更なる選択肢が用意されました。

まとめ

カワサキ・エリミネーターシリーズは、その誕生以来、ドラッグレーサーを彷彿とさせる個性的なデザインと、力強い走りで多くのライダーを魅了してきました。様々な排気量モデルの展開、そして2023年の新型モデル登場によって、その歴史は新たな章を迎えようとしています。今後も、エリミネーターシリーズの進化から目が離せません。

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