カワサキ・EX-4

カワサキEX-4：隠れた名車の魅力に迫る

カワサキEX-4は、1994年から1998年にかけて川崎重工業が製造した、スポーツタイプのオートバイです。GPZ400Sの後継モデルとして誕生し、その優れた走行性能と扱いやすさで、多くのライダーを魅了しました。しかしながら、その存在感は、他のモデルに比べるとやや控えめだったと言えるでしょう。本稿では、EX-4の魅力と、その背景にある歴史的な要因を深く掘り下げていきます。

優れた走行性能と扱いやすさ

EX-4は、海外で販売されていたNinja 500（EX500）をベースに、日本の普通二輪免許で運転できるよう排気量が398ccに設計変更されたモデルです。エンジンは、水冷DOHC4バルブ、180度クランク、一軸式バランサーを搭載。最高出力50ps/10500rpm、最大トルク3.6kgf/9000rpmを発生し、当時の400cc並列2気筒エンジンとしてはトップクラスの性能を誇っていました。定置燃費も39km/L(60km/h)と、経済性にも優れていました。

発売当初は、サーキット走行会において、4気筒エンジンのZRXよりも速い区間タイムを記録したというエピソードも残っています。雑誌記事などでは、「ZRXよりも乗りやすい」と評価されており、高い操作性も魅力の一つでした。この扱いやすさは、多くのライダーから支持された要因と言えるでしょう。

エンジンの系譜と開発背景

EX-4のエンジンは、海外向けアメリカンモデルであるEN454（日本版EN400）を起源としています。シリンダーヘッド、ピストン、コンロッドなどの設計はGPZ900Rのエンジンをベースにしており、ボア×ストロークがGPZ900Rのちょうど半分という設計上の特徴から、海外では「ハーフニンジャ」というニックネームで親しまれていました。ただし、GPZ900Rのモジュラーエンジンとは異なり、センターカムチェーンや逆回転クランク、ハイボチェーンによる一次減速といった機構を採用しています。

日本市場における位置づけと販売状況

EX-4は、海外市場ではロングセラーとなったEX500とは異なり、日本では地味な存在でした。これは、当時の日本の400ccクラスにおいて4気筒エンジンが主流であったこと、そして、EX-4が前輪シングルディスクや細身の足回りなど、豪華さに欠ける装備であったことが影響しています。価格面でも、同クラスの4気筒モデルとの差別化が難しかったと考えられます。そのため、販売数も少なく、ラインナップを埋めるためのモデルという位置づけだったと言えるでしょう。

まとめ：個性と魅力を秘めた名車

カワサキEX-4は、優れた走行性能と扱いやすさを持ちながら、市場の主流とは異なる道を歩んだモデルです。その背景には、海外モデルからの派生という経緯や、当時の日本の市場動向が大きく影響しています。しかし、その個性的な歴史と、隠れた魅力は、多くのバイク愛好家にとって、忘れがたい存在感を放ち続けていると言えるのではないでしょうか。EX-4を知ることで、日本のバイク史の一端に触れることができるでしょう。

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