カワサキ・KH

カワサキKHシリーズ：2ストロークスポーツバイクの系譜

カワサキKHシリーズは、川崎重工業が1976年から製造・販売していたオートバイシリーズです。愛称は「ケッチ」として親しまれていました。 90cc、125cc、250cc、400cc、そして500ccと、幅広い排気量でラインナップされたKHシリーズは、いずれも2ストロークエンジンを搭載したオンロードタイプのスポーツバイクでした。このシリーズは、それまでのカワサキを代表する3気筒モデル「マッハ（SS）シリーズ」や小排気量単気筒モデルの流れを汲みつつ、それらを統合する形で誕生しました。

特徴的なのは、そのパワフルな2ストロークエンジンと、シリーズを通して受け継がれるスポーティなデザインです。しかし、プライマリーキックではないため、ギアが入った状態でエンジンが停止した場合、ニュートラルに戻さなければエンジン始動できないという点も、当時の特徴として挙げられます。

各モデルの詳細

KH90: 90ccクラスのKH90は、先行モデルである90SSの後継機種として登場しました。当時としては先進的な前後油圧式ディスクブレーキを採用するなど、高級志向のモデルでした。しかし、中間排気量ということもあり、国内での販売台数は多くありませんでした。10.5psの空冷2ストローク単気筒エンジンを搭載していました。

KH125: 125ccクラスのKH125は、1970年代後半から1980年代前半にかけて生産されました。123ccの2ストローク単気筒エンジンを搭載したスポーツモデルで、KH90とは異なり、前輪が機械式ディスクブレーキ、後輪がドラムブレーキという構成でした。1983年には水冷エンジンを搭載した後継機種AR125の登場により、国内での生産は終了しました。しかし、その後タイのカワサキで生産されたKH125が輸入され、安価で扱いやすいことから人気を集めることとなりました。「GTO」という別名でも知られています。

KH250: 250ccクラスのKH250は、伝説的なモデル「マッハIII (H1)」譲りの2ストローク3気筒3本マフラーのレイアウトを継承し、上位機種のKH400とともにシリーズの末裔として長く販売されました。最大出力は28psを誇り、350SS (S2) のエンジンをベースにボアダウンしたロングストロークタイプのエンジンを搭載していました。初期型(A5)はドラムブレーキでしたが、中期型以降はKH400と同じディスクブレーキを採用するなど、モデルチェンジを重ねました。最終型は1982年まで販売されました。

KH400: 400ccクラスのKH400は、400SS MACH II の名称変更モデルとして1975年12月に発売されました。KHシリーズの中でも人気が高く、スポーティなデザインとパワフルなエンジンで多くのライダーを魅了しました。1979年モデルが最終型となり、1982年まで販売されました。

KH500: 500ccクラスのKH500は、500SS MACH III の名称変更モデルとして1975年に発売されました。シリーズ中、最大の排気量を誇るモデルで、マッハシリーズのフラッグシップモデルとしての地位を確立していました。1979年モデルが最終型となりました。

KHシリーズの遺産

KHシリーズは、そのスポーティなデザインとパワフルな2ストロークエンジンで多くのライダーを魅了し、日本のバイク史に大きな足跡を残しました。2ストロークエンジンの時代を象徴するモデルとして、現在でも多くのファンから愛され続けています。現在では絶版車となっていますが、その存在感は色あせることがなく、多くの愛好家によってレストアやカスタムが続けられています。Webikeなどのサイトでは、各モデルに関する詳細な情報が掲載されているので、興味のある方はぜひ調べてみてください。

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