カワサキ・KR (ロードレーサー)

カワサキ・KRシリーズの概要

カワサキ・KR（ケイアール）シリーズは、1970年代に川崎重工業が製造したオートバイで、主にロードレースで使用される競技専用車です。このシリーズには、特にKR250、KR350、KR500、そしてKR750といったモデルがあり、それぞれ異なるエンジン特性と技術革新を持っています。

KR250の特徴

KR250は1975年にデビューした2ストロークタンデムツインエンジンを搭載したロードレーサーです。そのエンジンは249ccで、出力は51PS/10,650rpmです。特に1978年と1979年には、コーク・バリントン選手がこのマシンで、1980年と1981年にはアントン・マンク選手が世界チャンピオンのタイトルを獲得しました。このモデルは、ロードレース世界選手権の250ccクラスにおいて注目の的となりました。

1975年型のKR250は、初めて水冷のロータリーエンジンを採用し、その革新的な技術は競技の場で大きな成果を上げました。また、1977年型ではさらなる改良が施され、より高い性能を実現しています。

KR350の進化

KR350は、WGP350ccクラスに特化したモデルとして登場します。エンジンは、同じく2ストロークのタンデムツインですが、排気量はさらに349.89ccに拡大され、出力は75bhp/11,800rpmに達します。特筆すべきは、その設計で、KR250から引き継がれたフレームと動力装置を持ちながら、左側にロータリーバルブを搭載し、直径36mmのキャブレターを二基装備しているところです。

KR350は、その性能や哈利ング特性の改良などから、非常に成功したモデルで、コーク・バリントンとアントン・マンクが世界タイトルを獲得する実績を残しました。このマシンは、1982年に廃止された350ccクラスにおいて最後のチャンピオンマシンとなり、その名を轟かせました。

KR500とKR750の挑戦

KR500は、250ccクラスでの成果を踏まえて、500ccクラスに挑戦したモデルです。このオートバイは、特異なアルミモノコックフレームと水冷の2ストロークスクエア4気筒エンジンを搭載しています。しかし、1980年から1982年の短い期間に限られた挑戦となりました。

一方、KR750はF750選手権用に開発されたモデルで、直列3気筒エンジンを搭載しています。初期型は「グリーンミーニー」として知られ、不安定なハンドリングに悩まされていましたが、その後の改良を経て、数々の成功を収めました。

特に1975年のベストシーズンでは、ミック・グラントからの圧倒的なパフォーマンスで話題を呼びました。しかし、1976年にはF750クラスから撤退し、KR250とKR350に注力することになります。KR750はシリーズの中で独自の位置を占めながらも、最終的には選手権から姿を消すこととなりました。

総括

カワサキ・KRシリーズは、それぞれのモデルが異なった魅力と性能を持ち、競技用バイクとしての地位を確立しました。優れた技術とデザイン、そして数々の名レーサーによる活躍により、KRシリーズはモータースポーツ史における重要な存在として語り継がれています。

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