カワサキ・Z1000MKII

カワサキ Z1000MKII：伝説のZシリーズ最終進化形

カワサキZ1000MKIIは、1978年から1980年にかけて製造された、総排気量1015ccのオートバイです。北米仕様ではKZ1000MKIIと呼ばれていました。Z1/Z900シリーズの後継モデルとして登場したZ1000は、環境規制への対応や出力の伸び悩みから販売が低迷していました。しかし、1977年に発売された特別仕様車Z1-Rの高人気を受け、Z1000もモデルチェンジが実施され、直線基調のデザインを採用、Z1000MKIIとして生まれ変わりました。

デザインと性能

Z1000MKIIは、Z1-Rと同様に直線を強調したシャープなスタイルが特徴です。兄弟車であるZ1300がツアラータイプであったのに対し、Z1000MKIIは、カワサキが重視したスポーツモデルとしての立ち位置を明確に示しています。エンジン出力は93psに強化され、当時台頭してきた競合他社の1リッタークラスモデルにも対抗できる性能を備えていました。しかし、競合他社の性能向上は著しく、モデル末期には再び競争力を失いつつありました。更なる性能向上のためには、フレームやエンジンの抜本的な改良が必要と判断された結果、Z1000MKIIは、Z1系モデルの系譜に終止符を打つことになります。

AMAスーパーバイク選手権での活躍

1980年のAMAスーパーバイク選手権では、エディ・ローソン選手がZ1000MKIIで優勝を果たしました。しかし、後に予備車両の不備が指摘され、優勝はウェス・クーリー選手（スズキGS1000）に繰り上げとなりました。それでも、この出来事がZ1000MKIIの伝説性を更に高める一因となりました。

高い人気とプレミアム価格

Z1000MKIIは、Z1の基本設計を継承しつつも、最終進化形として熟成されたモデルでした。「角Z」と呼ばれるそのスタイルは、多くのライダーを魅了し、現在では旧車市場において非常に高い人気を誇っています。販売当時は不人気モデルでしたが、現在では500万円を超える高額で取引されることも珍しくありません。その希少性と人気から、海外輸出仕様車両の中でも特に高い価格で取引され、他の旧車バイクを圧倒しています。

コピー車両の増加

Z1000MKIIの高い人気を裏付ける現象として、コピー車両の存在が挙げられます。安価に入手可能なZ1000やZ1000LTDなどの同時期生産車種に、Z1000MKIIの外装パーツを装着した車両が多数存在します。中には、後年発売されたゼファーにZ1000MKII風外装を装着した車両も見られます。「少しでも安価にZ1000MKIIのスタイルを楽しみたい」という需要の高さが、この車両の人気を物語っています。

コピー車両：Z1000LTDとの比較

コピー車両のベースとして最も多く用いられるのはZ1000LTDです。北米で高い人気を誇ったこのモデルは、多くの車両が残存しており、海外から逆輸入されるケースも多いです。Z1000LTDとZ1000MKIIはエンジンを共有し、外装パーツを交換することで外観を酷似させることができます。しかし、Z1000MKIIの特徴であるフレーム構造、特にダウンチューブの二重管構造は、Z1000LTDなど他のモデルとは異なります。このため、完全なコピーは非常に困難です。

モデルバリエーション

Z1000MKIIは、1979年モデル（Z1000-A3/KZ1000-A3、KZ1000-A3A）と1980年モデル（Z1000-A4/KZ1000-A4）が存在します。1980年には燃料噴射装置を搭載したZ1000Hもリリースされました。

関連車種

Z1000MKIIは、Z1000LTD、Z1R-II、Z1000ST、そしてZ750FXなど、多くの関連車種が存在します。しかし、Z1000STは外観が似ているものの、基本設計が異なるため、MKIIのバリエーションとは見なせません。

まとめ

カワサキZ1000MKIIは、Z1シリーズの最終進化形であり、そのシャープなデザインと高い人気から、現在でも多くのライダーを魅了し続けています。高いプレミアム価格と、それを裏付けるコピー車両の多さは、このバイクが持つ特別な魅力を物語っています。

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