カワサキ・Z200

カワサキZ200：孤高の単気筒レジェンド

1970年代後半から1980年頃にかけて、日本のバイクシーンに独特の存在感を放っていたのが、川崎重工業（現カワサキモータース）製のオートバイ、Z200です。その名の通り、198ccの空冷4サイクルSOHC2バルブ単気筒エンジンを搭載した、極めてシンプルなモデルでした。

当時としては最大排気量を誇る単気筒エンジンは、他のバイクとは一線を画す、力強い鼓動感と独特の味わい深さを持ち合わせていました。現代の多気筒エンジンとは異なる、単気筒ならではのダイレクトな加速感と、ライダーと機械が一体となるような感覚は、多くのライダーを魅了しました。

Z200のデザインは、無駄を徹底的に省いたシンプルなもの。余計な装飾はなく、機能美を追求した車体デザインは、洗練された印象を与えます。車体色は、青メタリックや黒メタリックといった落ち着いたカラーリングが中心で、シルバーメタリックや赤メタリックといったバリエーションも存在しました。

ブレーキシステムは、前輪にワイヤー式シングルディスクブレーキ、後輪にドラムブレーキを採用。現代のバイクと比較すると簡素なシステムですが、当時の技術水準においては十分な制動力を提供していました。軽量な車体との組み合わせにより、取り回しの良さを実現しており、初心者や女性ライダーにも扱いやすいバイクとして、カタログでも紹介されていました。

しかし、実際にはZ200は、カタログターゲットとは少し異なる層に支持されました。それは、単気筒エンジンの魅力を熟知し、その独特のテイストを愛する男性ライダーたちです。彼らはZ200のシンプルながらも奥深い走りに惹かれ、その個性を高く評価しました。

Z200は、発売後も数度のマイナーチェンジを経て進化を続けました。そして1980年には、排気量が246ccにアップ（その後249ccにアップ）された後継モデルであるZ250FSへとバトンタッチ。その歴史に幕を閉じました。

現在、Z200は当時の生産台数が少なく、非常に希少なモデルとなっています。そのため、中古市場においては高値で取引されることも珍しくなく、コレクターやビンテージバイク愛好家から高い人気を集めています。

シンプルながらも奥深い魅力を秘めたZ200は、日本のバイク史において、独自の足跡を残した一台と言えるでしょう。その力強い鼓動感は、今も多くのライダーたちの心に響き続けています。 Z200のカタログ価格は1980年当時で240,000円でした。この価格も、当時のバイク市場におけるZ200の位置づけを知る上で重要な要素と言えるでしょう。 また、Webikeなどのサイトでは、1977年式のZ200に関する情報なども公開されています。これらの情報から、Z200の歴史や魅力をより深く知ることができます。 参考文献として、『モーターサイクリスト』1982年10月号臨時増刊「国産モーターサイクルのあゆみ・パート3」なども挙げられます。これらの資料は、Z200を含む当時のバイクシーンを知る上で貴重な情報源となります。

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