カワサキ・Z400FX

カワサキZ400FX：400ccクラスを席巻した伝説のバイク

カワサキZ400FXは、川崎重工業が1979年から1982年にかけて製造販売した中型オートバイです。Z1000MKIIやZ750FXを彷彿とさせる直線基調のデザインは、洗練されたシャープさを持ち合わせていました。その心臓部には、DOHCエンジンを搭載。深いフィンが特徴的なヘッドカバーは、力強いメカニズムを主張するかのような風格を漂わせています。

Z400FXが人気を博した理由

Z400FXの人気の高さは、当時の社会情勢と密接に関連しています。1970年代後半、750ccクラスのバイクに乗るためには大型自動二輪免許の取得が必要でしたが、その合格率は10％にも満たないほどでした。そのため、中型二輪免許で運転できる400ccクラスのバイクは、性能と所有感を両立できる選択肢として大きな注目を集めていたのです。

特に、Z400FXは4気筒エンジンを搭載したモデルとして、ホンダのCB400FOUR以来となる注目作でした。CB400FOURはコスト面から生産終了となりましたが、Z400FXはZ1/Z2と部品を共有することでコストを抑え、400cc4気筒モデルのラインアップを実現しました。さらに、国産400ccクラスでは初のDOHC直4エンジンを搭載し、最高出力もクラス最高を誇ったことから、その人気は爆発的なものとなりました。

継続的な改良とモデルバリエーション

Z400FXは発売後も継続的に改良が加えられ、完成度は着実に高められていきました。カラーバリエーションの変更や追加、足回りの強化など、数々のアップデートが行われたのです。1982年には後継機種であるZ400GPが発売されましたが、Z400FXの人気が根強く続いたため、E4Bモデルとして生産が続けられました。

デザインと希少性

Z400FXのデザインは、その美しいフォルムを重視した結果、シートが高く幅広くなっています。そのため、足が短いライダーにとっては、乗車姿勢に苦労した人も少なくありませんでした。シートのスポンジを削る「アンコ抜き」という方法もありましたが、美しいデザインを損なうことを嫌うライダーも多かったようです。

また、Z400FXは暴走族や旧車會において改造車のベースとして人気が高く、ノーマル状態で残っている車両は非常に少ないのが現状です。そのため、ノーマルに近い状態の車両は、非常に高額で取引されています。

モデルバリエーションと輸出仕様

Z400FXは、E1からE4Bまで複数のモデルが存在します。各モデルでは、車体色、ホイール、サスペンション、エンジン、ブレーキシステム、さらには装備品などに変更が加えられており、コレクターの間ではそれぞれのモデルに注目が集まっています。また、Z400FXには、輸出仕様車としてZ500やZ550、Z400Jなども存在します。これらのモデルは、排気量やブレーキシステムに違いが見られます。

ライバル車種との競争

Z400FXは、市場で多くのライバル車種と競争を繰り広げました。中でも、1981年秋に登場したホンダCBX400Fは、サーキット性能を重視した設計で人気を博し、Z400FXの人気を脅かしました。しかしながら、両車ともしばらくの間、市場で高い人気を保ち続けました。

Z400FXの遺産

Z400FXは、その美しいデザイン、高い性能、そして当時の社会情勢が重なり、日本におけるオートバイ史に大きな足跡を残したモデルとなりました。現在でも根強い人気を誇り、多くのファンを魅了し続けています。その希少性と高い人気から、レストアされた車両やカスタムされた車両も多数存在しており、中古市場でも高い価格で取引されています。 Z400FXは、単なるオートバイではなく、一つの時代を象徴する存在と言えるでしょう。

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