カンガルー属

カンガルー属（Macropus）

カンガルー属（学名: Macropus）は、有袋類カンガルー科に分類される哺乳類の一群です。主にオーストラリア大陸とその周辺の島嶼に生息しており、独特な跳躍移動で知られています。この属には、比較的大型のカンガルーから、より小型のワラビーと呼ばれる種まで、多様な動物が含まれています。模式種はオオカンガルー（Macropus giganteus）です。

この属に属する動物は、一般的に後肢が非常に発達しており、強力な尾を使ってバランスを取りながら跳ねることで高速移動を行います。食性は主に植物食で、草や木の葉などを食べます。メスは腹部に育児嚢を持ち、未発達な状態で生まれた子供（ジョーイ）を育児嚢の中で育てます。有袋類の中でも特に広く知られたグループであり、オーストラリアの象徴的な存在となっています。

分類

カンガルー属は、分子系統学などの研究に基づいて、いくつかの亜属に分けられています。ここでは、代表的な分類体系に基づき、含まれる種を亜属ごとに示します。

Macropus亜属

この亜属には、属の模式種を含む、よく知られた大型のカンガルーが含まれます。

オオカンガルー（Macropus giganteus）
英名: Eastern grey kangaroo
この属の模式種であり、オーストラリア東部に広く分布する大型種です。
クロカンガルー（Macropus fuliginosus）
英名: Western grey kangaroo
オーストラリア南西部を中心に生息する大型種で、オオカンガルーに近縁です。

Notamacropus亜属

この亜属には、比較的小型の、いわゆるワラビーと呼ばれる種が多く含まれます。俊敏な動きが特徴の種が見られます。

スナイロワラビー（Macropus agilis）
英名: Agile wallaby
オーストラリア北部やニューギニア島南部に生息する、名の通り機敏なワラビーです。
セスジワラビー（Macropus dorsalis）
英名: Black-striped wallaby
背中に黒い筋模様を持つワラビーで、オーストラリア北東部に分布します。
ダマヤブワラビー（Macropus eugenii）
英名: Tammar wallaby
小型のワラビーで、オーストラリア南部や周辺の島嶼に生息します。
シマワラビー（Macropus greyii）
英名: Toolache wallaby
絶滅種です。かつてオーストラリア南東部に生息していましたが、残念ながら姿を消しました。
クロテワラビー（Macropus irma）
英名: Western brush wallaby
オーストラリア南西部に生息するワラビーで、手足が黒っぽいのが特徴です。
パルマヤブワラビー（Macropus parma）
英名: Parma wallaby
比較的小型のワラビーで、一時は絶滅したと考えられていましたが再発見されました。
エレガントワラビー（Macropus parryi）
英名: Pretty-faced wallaby
顔つきが特徴的なワラビーで、オーストラリア北東部に分布します。
アカクビワラビー（Macropus rufogriseus）
英名: Red-necked wallaby
首の後ろが赤褐色をしていることからこの名があり、オーストラリア南東部に生息します。

Osphranter亜属

この亜属には、大型のカンガルーや、ワラルーと呼ばれるずんぐりした体格の種が含まれます。ワラルーは、カンガルーとワラビーの中間的なサイズ感を持つことが多いです。

アカワラルー（Macropus antilopinus）
英名: Antilopine kangaroo
オーストラリア北部やニューギニア南部に生息する、大型のワラルーです。
クロワラルー（Macropus bernadus）
英名: Woodward's wallaroo
比較的小型のワラルーで、オーストラリア北部に限られた地域に生息します。
ケナガワラルー（Macropus robustus）
英名: Wallaroo
最も一般的なワラルーで、オーストラリア全土の様々な環境に生息します。
アカカンガルー（Macropus rufus）
英名: Red kangaroo
現生のカンガルー類で最大級の種であり、オーストラリア内陸部の乾燥地帯に広く分布します。

カンガルー属の種は、生息環境に応じて体サイズや体色、行動パターンなどが異なります。これらの多様性が、オーストラリア大陸の様々な生態系において重要な役割を果たしています。

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