カンクエン

カンクエン遺跡の詳細

カンクエン（Cancuén）は、グアテマラのペテン県南端に位置する古代マヤの遺跡です。この場所は、パシオン川渓谷にあり、低地と高地を結ぶ交易の要所として知られています。長い間、その価値が認識されていなかったカンクエンですが、2000年以降に行われた研究を通じて、その重要性が再評価されました。

遺跡の発見と歴史的背景

カンクエンは、1905年に考古学者テオベルト・マーラーによって発見されましたが、その時点では特に注目されない遺跡と見なされていました。1960年代に入ると、ハーバード大学の大学院生が遺跡を訪れ、宮殿の存在を報告しましたが、その規模は軽視されていました。1990年代にアーサー・デマレストが率いる調査隊が行った発掘調査の中で、ドス・ピラスの王子とカンクエンの王女との結婚を記した碑文が発見され、カンクエンの歴史的な重要性が認知されるようになりました。

当時、ヴァンダービルト大学やグアテマラ文化省、ナショナルジオグラフィック協会などの協力を得て、1999年から共同調査が行われました。この研究により、2000年にはカンクエンにおいて、8世紀に建設された巨大な宮殿が発見されました。実際には、765年から790年の間にタフ・チャン・アフク王によって建てられたこの宮殿は、170の部屋を有し、古代マヤの宮殿の中で最大のものとされています。従来、小規模な建物だと考えられていたこの宮殿は、地下に埋もれている部分が多く、発掘によってその壮大さが明らかになりました。

なお、カンクエンが支配していたドス・ピラスは761年に滅びましたが、その影響から、カンクエンなど周辺の都市は再び発展を遂げたと考えられています。カンクエンはヒスイや他の高地マヤの産物を運ぶ重要な拠点であったため、特に注目されています。南北交易路がカラクムルやラ・コロナ、エル・ペルー、セイバルを結び、ここに至る大動脈として機能していたのです。

カンクエンの悲劇

2005年には、カンクエンの宮殿近くに設けられていた貯水池の中で、多数の支配者層が虐殺され、投げ込まれた遺体が発見されました。この事件は800年ごろに攻撃を受け、殺害されたものと考えられています。此外、石碑に刻まれていた王族たちの顔はすべて削り取られ、歴史的な証拠が失われる結果となりました。

結論

カンクエン遺跡は、その歴史や文化的な価値が再発見され、多くの研究者たちによって研究が続けられています。マヤ文明の交易や支配の実態を理解するための貴重な遺産として、今後の更なる調査が期待される場所です。

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