カントリーミュージック協会賞

「カントリーミュージック協会賞（Country Music Association Awards）」は、アメリカ合衆国のカントリーミュージック界において特に高い権威を持つ賞典の一つです。これは、同ジャンルを推進する団体であるカントリーミュージック協会（CMA）の会員による厳正な投票に基づいて、その年の最も優れたアーティスト、楽曲、その他の関係者が選出され、授与されるものです。同じく著名なカントリーミュージックの賞である「アカデミー・オブ・カントリーミュージック賞（ACMアワード）」とはしばしば混同されがちですが、これらは設立母体も異なり、別個に運営されている賞です。

本賞の起源は1967年に遡ります。記念すべき第1回授賞式は、テネシー州ナッシュビルにあるミュニシパル・オーディトリアムで開催されました。この時はまだテレビでの中継は行われておらず、最高賞にあたる「エンターテイナー・オブ・ザ・イヤー」の最初の受賞者には、カントリー界の巨匠エディ・アーノルドが輝きました。翌1968年の第2回授賞式は、NBCによって収録され、後日テレビ放送される形式が取られました。そして、1969年からはついに授賞式の模様が生中継されるようになり、全米のカントリーミュージックファンがリアルタイムで祭典を楽しめるようになりました。テレビ中継を手掛けるネットワークは時代とともに変遷しており、1972年から2005年まではCBSが担当し、2006年11月以降はABCがその役割を担っています。授賞式は、原則として毎年10月または11月に開催される伝統が続いています。

授賞式の開催地も、その長い歴史の中でいくつかの変遷を経てきました。初期には、カントリーミュージックの聖地として知られるグランド・オール・オープリーの本拠地であるライマン公会堂が長年使用されていましたが、1974年から2004年までの約30年間は、同じくナッシュビルにあるグランド・オール・オープリー・ハウスに移されました。2005年には一度、テネシー州を離れてニューヨークの著名な会場であるマディソン・スクエア・ガーデンで開催されたこともありましたが、翌2006年にはナッシュビルに戻り、それ以降は主に市内のブリヂストン・アリーナを会場として開催されています。

カントリーミュージック協会賞で授与される賞は多岐にわたります。主要な部門は、アーティスト、楽曲、アルバム、ミュージックビデオなどを対象とした以下の12部門から構成されています。

エンターテイナー・オブ・ザ・イヤー: その年の最も貢献し、影響力を持ったアーティストに贈られる最高栄誉。
男性ボーカリスト賞
女性ボーカリスト賞
新人賞: 新進気鋭のアーティストに贈られます。2008年までは「ホライゾン賞」という名称でした。
ボーカル・グループ賞: 三人以上のグループを対象とします。
ボーカル・デュオ賞: 1970年より設けられた二人組ユニットの賞です。
シングル賞: 特定の一曲に対して贈られます。
アルバム賞
楽曲賞: 主にソングライターに対して贈られます。
音楽イベント賞: 1988年にボーカル・デュオ部門から分割されました。一時的なコラボレーションや、特定のプロジェクトによる楽曲などを評価します。
ミュージック・ビデオ賞: 1985年より設けられました。
演奏者賞: 優れた楽器演奏者に贈られます。

かつては二人のアーティストによる共演やユニットは全てボーカル・デュオ部門で評価されていましたが、企画性の高い一時的なデュエットやコラボレーション形式の楽曲については、後の部門改編により音楽イベント賞の範疇で評価されるようになりました。

これら主要部門に加え、カントリーラジオ業界の貢献を称えるための賞も設けられています。ラジオ局賞とパーソナリティ賞は、それぞれ市場規模に応じて四つのカテゴリーに細分化され、さらに全米パーソナリティ賞と合わせて、合計9部門が別途授与されます。

華やかな授賞式典では、その年に活躍したカントリーミュージック界の新人から、既に確立されたトップスターに至るまで、幅広いアーティストたちによる圧巻のライブパフォーマンスが披露されるのも大きな魅力の一つです（過去には、2002年のように新人の演奏機会が設けられなかった時期もあります）。この祭典は、カントリーミュージックの最新の動向を知る上で、またその文化を振興する上で、極めて重要な役割を果たしています。

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