カンバーランド川

カンバーランド川の概要

カンバーランド川は、アメリカ合衆国南部に位置する大河であり、ミシシッピ川水系のオハイオ川の重要な支流の一つです。川の全長は1,107km（688マイル）に及び、ケンタッキー州東部にあるカンバーランド高原から始まり、テネシー州北部を流れ抜けて、ケンタッキー州西部のスミスランドでオハイオ川に合流します。この川は、ケンタッキー州において、ケンタッキー川やビッグ・サンディ川とともに主要な河川の一つとして知られています。特にテネシー州の州都ナッシュビルが川の近くに位置することから、地域の重要な水路の一部として広く認識されています。

流路と自然環境

カンバーランド川は、ハーラン郡から始まる自然の川で、特にその流域には美しい風景が広がっています。カンバーランド滝は、落差21m（68フィート）を誇る美しい滝で、「リトル・ナイアガラ」とも称される名所です。この滝は常に霧が立ち込め、西半球で月虹を観賞できる珍しいスポットでもあります。

さらに、この川の流域にはいくつかのダムが存在し、それによって大きな貯水池が形成されています。代表的な貯水池には、カンバーランド湖（ウォルフ・クリーク・ダムによる）、オールド・ヒッコリー湖、チャタム湖、バークリー湖などがあります。また、支流にはローレン川とオベイ川に造られた貯水池があり、その数は多岐にわたっています。

特に注目すべきは、ビッグ・サウス・フォークの渓谷で、ここはビッグ・サウス・フォーク国立景観河川・レクリエーション地域として、アメリカ合衆国国立公園局によって保護されています。この地域は美しい自然環境と多様な動植物が楽しめる憩いの場となっています。

歴史的背景

カンバーランド川はその流域において、歴史的に重要な役割を果たしました。最初は猟師と移民の移動手段として利用され、後にオハイオ川を経由してミシシッピ川に至る貿易の重要なルートとして活用されました。このため、川沿いの市町村は船着場を中心に繁栄していきました。

1748年、バージニア州の探検家トーマス・ウォーカーがこの川を「カンバーランド川」と名付けました。この名は、カンバーランド公ウィリアム・オーガスタスに由来しています。ウォーカーは、川の美しさに感動し、その記録を残しました。カンバーランド川は、ネイティブ・アメリカンによって「ワノト川」やフランス人商人によって「ショーヴァノン川」と呼ばれたこともあり、この地域の歴史的変遷を物語っています。

南北戦争中には、この川の周辺でいくつかの戦闘が行われ、中でもドネルソン要塞の戦いが特によく知られています。また、アメリカ海軍の艦艇に「カンバーランド」という名前を持つものがあるのも、この川の名誉を示しています。

災害と影響

近年、カンバーランド川は自然災害にも見舞われました。2010年4月から5月にかけての豪雨により、川の水位が急激に上昇し、決壊による洪水がナッシュビルに影響を及ぼしました。ナッシュビルのダウンタウン一帯では避難勧告が出される事態となり、地域の人々に大きな影響を与えました。このような自然の脅威は、川の持つ力と、その歴史的・地域的な重要性を改めて認識させるものでした。

カンバーランド川は、その壮大な自然、豊かな歴史、そして地域社会への影響を持つ重要な川として、今後も地域の人々に愛され続けることでしょう。

もう一度検索