カンパイ (競馬)

カンパイとは何か

カンパイは、日本の競馬において、出走馬が公正なスタートを果たせなかった場合に行われるスタートのやり直しを意味します。この言葉は、江戸時代末期から明治時代初期にかけて、日本に居留していた外国人のスターターが馬に対して「カムバック」と指示した際に、日本人がそれを「カンパイ」と聞き間違えたことから生まれたとされています。このためカンパイは、時折「カンバイ」とも呼ばれることがあります。オートレースでも、機器の誤作動によってスタートがやり直される際に「カンパイ」と称されることがあります。

カンパイが発生する理由

カンパイの発生は主に、発馬機の故障や誤作動、また発馬合図前に馬がスタートするフライング行為によって引き起こされます。特に、バリヤー式発馬機の時代にはこれらの問題が頻繁に発生しました。ただし、現在の競馬ではゲート式の自動発馬機が使われており、その性能も向上しているため、カンパイが発生することは非常に稀となっています。現在では、競馬の公正性を保つために、バリヤー発馬の問題があってもスタートのやり直しは認められない場合が多いです。

過去の事例

中央競馬の事例

中央競馬におけるカンパイの有名な事例として、1978年の天皇賞（秋）が挙げられます。このレースでは、パワーシンボリのゲートが開かなかったため、他の馬がすでにスタートしていた中でレースのやり直しが行われました。結果的に、パワーシンボリがゲートに噛みついていたことが後に判明し、彼女が問題を引き起こしたとされました。

また、1981年の秋の京都牝馬特別では、全馬がゲートに入ったあとに1頭の馬がゲートを破って飛び出し、そのため全馬がスタートを切ることになり、フライングした馬が外枠からの再スタートとなる事態を引き起こしました。1982年には、最高のレースである日本ダービーでもロングヒエンが発走寸前にゲートを破り、スタートのやり直しが実施されています。

このように、カンパイは往々にして予期しないトラブルによって引き起こされ、競馬界においては注目される出来事となってきました。

地方競馬の事例

地方競馬でもカンパイは発生しており、近年も年に1度程度見受けられます。特に1974年の園田事件では、発馬機の不具合からスタートがやり直されたことで、激しい騒動が起こり、観客の暴徒化や競馬場内の機器破損などの未曾有の事態に至りました。

2002年には大井競馬場で同じ競走内で2度のカンパイが発生する珍しい事例もありました。さらに、2019年には高知競馬場で発走後に不正発走が認められたケースがあり、当該馬の騎手が処分を受けることにもつながりました。

カンパイは競馬の公正な運営を担うための重要な仕組みであり、レースをめぐるさまざまな事例が表れています。競馬ファンにとって、各レースの動向とともに、このようなトラブルの行方を注視することは興味深いことでしょう。

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